SOPHIA MTV Unplugged ~2023.3.4~
2023年3月4日から、もう1ヶ月以上が経った。
気づけば何もない時間に、録画した Unpluggedライブを見ている私がいる。あの日私は、シャンデリアの輝く特別な空間で、大切なSOPHIAの楽曲を、一つずつ宝箱から取り出して抱きしめるように聞いた。そんな特別な時間だった。
充くんは「このライブは自分たちにとってご褒美」と表現していた。そして私達には「自分だけのSOPHIAと向き合って」「SOPHIAの楽曲と共に真空パックしたあの頃の気持ちを思い出しながら歌ってほしい」と伝えてくれた。
いつものライブではつい夢中になってしまうから、座ってじっくり、SOPHIAの音楽とこんな風に向き合ったのは初めてかもしれない。よそ行きな空間で、少し緊張しながらも、一つ一つの音を大切に感じ、一つの一つの言葉を受け取った。
充くんの言葉通り、曲と共に色んなことを思い出した。人生のイベントはもちろん、嬉しかった、悲しかった、苦しかった、いろんな感情も共に。自分の人生にずっとSOPHIAが寄り添ってくれていることを改めて思った。同時に、この会場にいる人、中継を通して見てる人、みんながそれぞれの人生をSOPHIAと共に過ごしてきたことを想像したら、すごく感慨深い気持ちになった。
でももちろん、過去を懐かしむだけではなくて。この日のためだけのアレンジで聞かせてくれた、特別な音楽の世界を味わえたこのライブは、新しい感情も私に運んでくれた。
eye
都さんのピアノと共に聴いた『eye』。時を経て、充くんが歌い上げるこの曲に、鳥肌が立ち心が震えた。自分が物語の中に入り込んでしまったかのように、没入して聴いた。そしてその物語は、昔なら旅立つ側の物語だったはずだけど、見送る側の物語だった。
この曲のことを、旅立つ勇気をくれる曲だとずっと思ってきたけど。それだけはなくて、深い愛について書かれた曲であることを知った。つい柄にもなく、自分がどれだけ家族へ愛を注げているのだろうと考えてしまった。バイオリンとチェロの音色が、親子の音色のようにも聞こえて、涙が止まらなかった。
演奏中、時に見つめあっていた充くんと都さん。二人にとっての二度と帰らぬ日々が、やさしさに包まれていたらいいな。そんなことも思った。
僕のトラック
久しぶりに聴くことのできた『僕のトラック』。昔は当たり前のようにSOPHIAとずっと旅を続けられるものと思っていたけど、幸せな時間は、気づけば過ぎる景色になってしまうことも知った。人生を誰かと共に歩んでいくことは、簡単なようで実は簡単ではないことを、理解できるようにもなった。
でも、だからこそ、5人がまた集まって、この曲を聴かせてくれることがすごく嬉しかった。たくさんのことを越えた、とっても優しい音に聞こえた。トラックの荷台にまた私たちも乗せてもらって、目の前続く未来を共に見られるような気がして、満たされた気持ちになった。
ポトス
ライブの中で、都さんがアレンジをしたと紹介されていた『ポトス』。最高に大人なカッコ良い世界感の『ポトス』を聴くことができて、この時ばかりは年齢を重ねたことに感謝した。
それにしても、「レ ミソシレードシソ♫」という都さんが奏でた前奏間奏のメロディー。すごくお洒落で素敵で、ずっと何かの形で残してほしい。あの『chu-chu-chu』の音程を5度下げることで、こんなに世界が変わるとは思わなかった。『ストロベリーアイスクリーム』のところで、「ミ→ミ♭→レ」と演奏される弦のメロディーが、とても心地よかった。(←全然間違ってたらごめんなさいだけど)音楽の世界の際限のない素晴らしさに、すごく感動した。
街
いつもは夢中で盛り上がる『街』を、まさか座って手拍子しながら聴く日が来るとは。楽しそうな5人の姿を、ただただ愛おしく見てしまった。
充くんと都さんが背中合わせになったとき、都さんが笑い声をあげてたり、ぐいって充くんのことを押していたり。充くんがいろんな場所で座って可愛く歌う姿を、みんなが笑いながら見てたり。つい立ち上がってピアノを弾く都さんを見てか、ラストでトモ君の笑い声が聞こえていたり。
きっとこれは、9年の時を経たから見られた景色。これまで聴いた中で、一番優しい幸せな気持ちになる『街』だった。
青空の欠片
最後に聴かせてくれたのは、『青空の欠片』。
最初の歌いだし『私は欠けている〜』は優しく。『欲望の果てに〜』はどこまでも遠くへ届くように。『誰かがくれた〜』は想いが溢れ出るかのように強く。サビの『あなたを愛してる〜』からは全てを包み込むように。
かき鳴らされるギターの音色と、充くんの圧倒的な歌唱に、涙が止まらなくなった。
『あなたは私の最後の欠片』
ヒマワリを振る充くんの姿を見つめながら、「どんな時もずっと松岡充でいてくれてありがとう」と感謝が止まらなかった。
ライブのことを思い出しながら、この記事を書いている今、「自分だけのSOPHIA」という言葉がすごく胸に響いている。
松岡充が書く歌詞は、情景を描くような歌詞のように思う。だから、みんながそれぞれの景色を思い浮かべながら、SOPHIAの曲を聴いている。昔の私、今の私もまた、違う想いでSOPHIAの曲を聴いている。
言葉にできない目に見えない、心の奥底の大切なもの、本質のようなものを、魂削って歌詞にしてくれたから。メロディーにしてくれたから。そんなことをずっと当たり前のようにしてくれたから。SOPHIAの楽曲は色褪せない。いつの時代も、寄り添ってくれるし、励ましてくれるし、時には問いも投げかけてくれる。
改めて気づいた。
SOPHIAがずっと、悲しみもさびしさも喜びも憎しみも、私たちに届くように、メロディーを探してくれていたことに。
そしてまたSOPHIAはいる。
嬉しくて泣けるほど、もう一度笑える場所をつくってくれてありがとう。