スポーツの審判について思うこと
オリンピックが始まりましたね。
阪神も調子が上がってきましたね。
もうすぐ高校野球も始まりますね。
スポーツ観戦が好きな自分にとっては超楽しい期間に突入してます。
柔道男子では日本人選手の試合で疑惑の判定がありました。
それについてSNS中心に色々と書き込まれてますけども。
私見ですが、あの判定は確かにダメだと自分も思います。
審判が試合の主役になった、審判が試合を壊したなど、試合結果と審判は本来切り離されないといけないものなんですが、どうしても審判によって勝敗が左右される試合もあるわけです。
スポーツの審判って実はめちゃくちゃ難しくて。
僕もかつて中学生サッカーの主審をする機会がありました。
一年間に10〜15試合ほど、それを4年間やりました。
サッカーは小学生の頃に少しやってたのですが、それ以降はさっぱりなので、主審はおろか副審すらやったことがありませんでした。
そんな状態の自分がいきなりサッカーの主審をすることに。前後半30分ずつの計60分です。地獄のように長く感じます。
一応ちゃんとレフェリー用の黒いユニフォームを着て、イエローカード・レットカードとホイッスルを持ってやらないといけません。
もちろんこれまでに主審経験のある人は、試合を裁くのがめちゃくちゃ上手です。
試合序盤からきっちりファールを取って、試合が荒れないようにコントロールできるし、不可解な判定もほとんどありません。
ただ自分みたいに主審経験ゼロの人は、サッカーのルールを知ってても、試合を見るのがどれだけ好きでも、めちゃくちゃ難しいです。
今のファールかな?なんて迷ってる間に試合は流れていくし、状況によってはアドバンテージでファールを流したり、危険なプレーには適切なカードを出さないといけない、選手がピッチで倒れたらタイミングを見計らいつつ止めるか止めないかの判断もしないといけない
書き出せば恐ろしいぐらい見ないといけないものがたくさんあるし、そういうことが同時に2つ3つ起こることもあります。
で、経験が少ないとどうなるかというと、際どい判定の時に迷ってしまって、いわゆる不可解な判定をしてしまうことがよくあります。
ハンドジェスチャーを出してるのに、何か思ってたことと違うことを目の当たりにすると思わず真逆の判定をしてしまったり。まさしく今回の柔道のようなことが起こったりします。
おそらく今回の柔道の女性主審は国際舞台の経験がそこまで豊富ではないんじゃないかなと推測します。(そうでなかったとしても元々審判として能力が高い人ではなかったのでは)
オリンピック柔道の審判は各国から必ず審判を出さないといけないルールのようで、必ずしも世界の優秀な審判がやっているわけではないのだそう。
(ここからは柔道を全然知らない自分の勝手な予想です。認識が間違ってたらすみません。)
審判は膠着状態と捉えて「待て」を入れた
↓
寝技は解かれるものだと思い込んでる
↓
目視で確認したらまだ締め上げてる
(本来なら、待てを宣告したから、即座に身体を張ってでも審判が止めないといけない)
↓
私、待て入れたけどよく見たら全然膠着状態じゃないやん、一旦様子見よかとハンドジェスチャーと真逆の対応で傍観してしまう
↓
数秒後自然と寝技が解かれたら日本人選手が落ちてた
↓
ほな落ちたから一本負けな
審判の心理状況を考えると「待て」を宣告したものの、思ってたほど膠着状態ではなく、やるべきことをやる(今回の場合は、待てを宣告してるから無理矢理にでも止める)よりも、自分の「待て」の判定に迷いや自信のなさを感じて思わず傍観してしまい、最終的に自分のハンドジェスチャーとは違う一本判定を下してしまったのではないかなと勝手に予想しました。
結果的にあの審判の判定は一貫性がなくてとても悪いと思います。でも一方、審判も人間なので一瞬の迷いでミスジャッジや辻褄の合わない判定をしてしまう気持ちは痛いほど分かります。
それでもやっぱり舞台はオリンピック。
選手は人生を懸けてそこに照準を合わせるわけなので、ミスしましたごめんなさいでは済まない部分も大いにあります。
自分が主審をした中学生サッカーですら、試合中、試合後に監督や選手から怒りながら詰め寄られるなんて日常茶飯事でした。
「選手たちは死に物狂いで勝ちたいと思って練習してる。しっかり判定してくださいよ。」など監督からかなり語気強めに言われたりします。
自分も悪いのは分かってるけど、もう試合は終わってしまってるので、ミスジャッジでしたごめんなさいとしか言えません。あとから判定を変える手段がないので。
そう、この「一度判定してしまった以上判定を変えられない」というシステムが審判の首を絞めます。
中学生サッカーレベルなら、ごめんなさいで最終的には済む訳ですが、オリンピックとなればなかなかそうはいかないし、SNSの発達した現代では審判もボロカスに言われるのです。
確かに柔道のあの審判は罪深いと思うし、日本は継続して説明を求めていくべきだと思いますが、ひとつ感じるのは「なぜ柔道にはリクエスト制度がないの?」ということです。
リクエストって選手やチームからすると不服に思う判定を覆す機会であり、審判からすると間違ってたことを認めて訂正できる機会だと思います。
野球だって、少し前までは審判の判定が絶対でした。
監督や選手が本気で怒りながら、時には星野さんみたいに殴りかかりながら、猛抗議をする場面が多々ありました。でもかつての野球で審判の一度下した判定がひっくり返る場面はほとんど見たことがありません。
見てる側としても何度ももやもやしました。
でもリクエスト制度が始まってからは、選手やチームがもやもやを晴らす機会を得て、審判は間違った判定を訂正できて、かつてのように審判に猛抗議する場面は本当に減りました。
ファンも大筋納得しながら見ることができます。
サッカーもそう。VARやゴールラインテクノロジーが導入されるまでは、なんでやねん今のゴールライン完全に超えてるやんって場面や絶対ファールやろって場面がいくつもありました。
でも今は主審も怪しいプレーはすぐにVARで確認しにいって真実を明らかにしてます。
一応柔道にもビデオ判定はあるみたいですが、審判裁量のビデオ確認ではなく、リクエスト制にするということ、審判側はそのリクエストを真摯に受け入れて第三者的目線で検討することが大切だと思います。
もしくは審判の質をとんでもないレベルまで向上させるか。
でもそれは先にも書きましたが、審判も人間なのでミスする時はミスをします。ときには訳の分からない不可解な判定もします。
それならやっぱりリクエスト制度は必要なんじゃないかなと思います。
野球もサッカーも判定に納得できるような場面が増えてからより楽しくなったので。柔道は普段は見ませんが、オリンピックでは必ず見る競技なので、今回のようなモヤモヤがなくなれば嬉しいです。まあ、柔道は今回に限った話ではないですが。なので、なおさら。
これは余談ですが、待ての後に締め続けた相手のスペイン選手。
どうやら「待ては聞こえなかった」と言ってるようです。
聞こえたか聞こえなかったか真実は本人にしか知り得ないし、聞こえてないとしたら寝技を解くわけがないので、なんとも責め難いなという感じです。やっぱり審判が割って入って止めるべきでした。
ま、スペインの選手の聞こえなかったが本当なら銅メダルおめでとうやし、聞こえなかったがもし嘘ならいつか勝手に地獄に落ちるだろうと思っておきます。
まあまあ。審判は辛い仕事です。
経験が少ないと余計に。
本音を言うと僕が仕事の種類を変えたのは「審判業務がめちゃくちゃ辛かったから」って部分が6割ぐらいを占めます。
自チームの子どもたちには「審判がいないと試合はできないから、まず審判に感謝しなさい。審判の判定に文句を言うより、自分の目の前のプレーに集中しなさい。」ということを常に話すようにしていました。
うちのチームの試合を裁いてくれた審判からは「◯◯さんのチームは判定に対して顔をする子が1人もいなくて、いつも気持ちよく笛が吹けます」と言われることもあって、監督としても嬉しかったし、選手もそれを聞いて嬉しそうにしてました。もちろん監督として自分も審判にいちゃもんをつけないように。
本来的にはスポーツはそれでいいんです。
ぬるいスポーツしか携わってませんが、そう思います。
だから尚更、特に真剣勝負の場では遺恨を残さないような判定のシステム作りを各競技で努力し続けてほしいと、スポーツ好きの自分は思うわけです。
長くなりました。
おわります。
とにもかくも、阪神さん、
明日からの巨人戦3タテ期待してます〜!