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ネガティブ思考の掘る穴は深い

地面を掘り続けたら地球の裏側までいけるのかな?と、子どものときはだれしも思ったでしょう。思わなかったですか?私は思いました。実際は無理ですよね。地球の真ん中にはマントルとかいうすごいヤツがあるらしい……と理科の授業で知って、ブラジルにたどり着くことは到底不可能なんだなって子どもながらにしっかりわかりましたとも。

地面はどこまでも掘り進むことはできないんですが、ネガティブな思考はどこまでも掘り進めることができる。終わりがない。どこまでも、アリの巣みたいにどこかしこへ分岐していって、「こんなことがあったら嫌だ」をとことん生み出してしまう。これを回避するには掘らない一択なんだけど、ネガティブな人間は不思議とどこまでも掘ってしまう。私もその一人。

「明日の仕事でこうなったらどうしよう」「この仕事が終わらなかったらどうしよう」「このまま○○のままだったらどうしよう」とか、永遠に考えてしまうんですね。生産性はゼロ。アリの巣なら家ができるけどさ。

ネガティブ思考を「地面を掘り進む」って例えるなら、ポジティブ思考は「空を飛ぶこと」だと思うんだけれど、地面を掘るのが得意な私は、反面空を飛ぶのがすこぶる苦手だ。ポジティブなことを考えようとしても、すぐに「そんなことない」と思ってしまう。さながら、ちょっと地面から飛んでみました、程度ですぐ「そんなわけない」と思ってしまう。そして気を抜くと地面を掘っている。モグラかよ。

これは生まれながらの性格なのか、それとも人生のどこかで変わってしまったのかはわからない。少なくとも、ある程度の年数はこの「ネガティブ思考」と付き合ってきた。そしてわかったことだが、私は気を抜くとすぐ地面を掘り進めようとするし、これは放置して止まるものではない。放っておくと暴走機関車のごとく進みだして、止められなくなってしまう。私の掘り進める地面にマントルがあればよかったが、ない。どこまでも掘り進んでいってしまう。そして裏側につくこともない。ただただ下層へと、分岐を繰り返しながら進んでいく。

こういう時は自力で這い上がるしかない。頭の中に関西芸人を召喚して「アカンアカンアカ―――――ン!!!!!!!」って突っ込んで、無理くり地上に引っ張り出さないといけない。そして何とか地表にとどまり続けるしか、できることはない。

世の中、意識しなくても当たり前のように地表で楽しく過ごしてる人もいれば、ともすれば空飛んで楽しく生きてる人もいる。性格というか気質というか、できる人は息をするようにできることだが、どうにもマイナス思考で悲観的な考えの人間にはどうにも難しい。しかし無情にも、できる人間はしれっと言ってくる。「どうしてそんなに悲観的なの?」と。

悲観的になってしまう人間は、結構いると思うのだ。そしてなんとなく勝手に、こうやって「なんで?」と聞かれて「私だってポジティブに生きたいわコンチクショウ!!!!」と心で叫んでいると信じている。

かといって、「これは性格なので」と言っていては破綻する。正直、ネガティブな人間で「このままでいたい」なんて思っている人はそうそういないのではないか。

最近はようやっと、自分が掘ってることに気付けるようになった。「今、自分掘り始めてるよ!」と。そしてわかったとき、すかさず止める。それ以上は掘ってはいけないよ、と。ゴールのない掘削作業の先、生まれるのはわけのわからない迷路みたいなもの。そんな行為は時間の無駄であるし、なんの解決も生まない。

「掘ってる!」と思ったら、そのときすかさず別のことを考えよう。
なんでもいい。
私はと言えば、手軽に晩御飯とかのことを考えている。

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