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映画『ゆるキャン△』の愛とファンへの裏切り

※大きなネタバレはないように努めますが細かい点も気になる方は注意です、TVアニメ版のネタバレはあります。


先日公開された映画『ゆるキャン△』。
TVシリーズの頃からの大ファンの私は大満足の内容でした。
『ゆるキャン△』好きは見て損はない、心温まる、明日から頑張ろうと思える、そして何よりほっこりまったり観れるあの時間は『ゆるキャン△』そのもので素晴らしかったです。

ただし、一部私にとっては今までの『ゆるキャン△』ファンを裏切るようなシーンというか内容があったのでそれについて書きたいと思います。
あくまでも総評は素晴らしいの一言ですし、中傷する目的ではありません。個人の見解です。


その内容とは、
志摩リンの仕事関係のシーン全て
です

なぜこの内容が『ゆるキャン△』ファンへの裏切りとなるのか、まずは
私が考える『ゆるキャン△』の最大の魅力から書かせてください。
そのあとその魅力を上述のシーンが壊していることを記述します。

『ゆるキャン△』の魅力

TVシリーズからの『ゆるキャン△』の素晴らしい点、それは「ストレスが発生していない」ということです。

登場人物たちは他のアニメで描かれがちな、人間関係の悩み(仲違い、いじめ、問題のある親や家族など)・生まれの悩み(コンプレックス、出身、恵まれない境遇)を一切持っていません。ストレスを持っていないんです。

野クルキャンプだってあの人がいるからどうだとか、強制参加だとか、そういう汚い部分がない。リンも野クルに無理に入ることはないし、みんな自由に好きなようにして、変な強制関係もない。

だからこそ、観ている側もストレスなく脳死で観れる。
感情移入しても一切悲しくも辛くもならない、頭を使わず感情も使わず、
観ることに一切心が疲れないのです。

忙しい現代において、それはアニメが提供できる重要な要素の一つだと思いますし、自分はそれが観ていて心地よかった。最大の魅力の一つだと思っています。

2期のストレスのある場面について

いや、悩みのあるシーンはあったよ?とツッコミがあるかもしれません。
例えばアニメ2期の第6話、真冬のキャンプ場で装備もなしに来てしまった彼女らは死の恐怖に直面します。
また映画でも彼女らの計画が上手くいかなくなりそうになる展開もあります。
それはどうなのか?と。ストレスではないのか?と。

はっきりと、「それは違う」と断言できます。
なぜなら、それらは「長期的な(慢性的な)悩み」ではないからです。

いじめなどの人間関係や生まれの悩みと違って、
それらはその場で突発的に起きたその場限りの問題であるのです。

慢性的でずっと辛いというような悩み続けるのもではないからこそ、見てる側には影響しません(もちろん場面展開や見せ方の秀逸さもあります)。一つの出来事として単純に引き続き脳死で観れるのです。

志摩リンの仕事の場面

では映画での問題の要素はどうでしょうか。
・頑張って作った企画書が編集長に却下される(またダメ・・・かのような反応)
・何度も終電間際まで残業しているシーンが出る
・疲れてソファで寝てしまう
・編集長と緊張関係にある様子が窺える
・先輩に迷惑をかけている

などなど、一般に「仕事がうまくいっていない」と呼ばれるシーンが度々出てきます。これは明らかに職場での長期的かつ慢性的な悩みです。
観ている側が社会人なら尚更その辛さは身に染みてわかることでしょう。

今まで現実に誰もが持つであろうストレス・嫌なことをことごとく排除して描かれてきた『ゆるキャン△』で突如として身に染みる生々しいシーンたち。
これは今まで上に書いたような魅力を元にゆるキャン△ファンになった人たちへの裏切りでしかない。ストレスは無いはずだと信頼して観ていたのに突然の銃撃。

これは許されない行為だと思います。
『ゆるキャン△』自らが作り上げた作品の魅力を、自らで壊してしまっていると思うのです。

特になでしこら、リン以外の仕事はうまく描かれているだけに、
リンの仕事だけが尚更際立ってストレスに見えるのです。


以上が私の個人的感想です。
繰り返しますが総評としては素晴らしい映画でした。
綺麗な景色と音楽、大人になった彼女たちの成長した姿、良かったです。

だからこそこの一点だけが、どうしてなんだよ『ゆるキャン△」よ、と
悔しくて仕方がありません。

『ゆるキャン△』が『ゆるキャン△』であるために、
引き続きこのコンテンツ応援させていただきます。



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