Alien Mind Cafe#8
Alien Mind CafeのTシャツ計画から半年が経とうとしていた。
6月になりジリジリと暑さが日々を侵食し始めていた
外を歩けばTシャツ姿の人達で溢れていた、この時期に照準をあわせていたのだが間に合わなかった。
ならば夏迄にTシャツを間に合わせたいところだが、一向に進む気配はなかった。
たまにピカスペースには来れば、カップヌードルのお湯を入れて8分後、みたいなふやけた顔で登場した。
雨になればフードデリバリーの仕事の時間給が普段より良くなるといい
デリバリー用のバックを持込み、携帯が鳴るのを待っていた
ゲストハウス住まいは2年半になり、ドミトリーの自身のベットの周りをお気に入りのミニマム世界でいろどっていた。
一期一会の世界もゲストハウスと言うフィルターがある事で、客層はだいたい決まっていた
その対応術を備えていたので、若く多感で世界に興味ある若者相手に長期滞在者だけが手に入れる事のできる「ぬし」感と「含み」で若者達を圧倒していた。
すっかりはんは仕事も出会いも人生も「待ち」になってしまっていた
何かあるかもしれない、僕はこんなもんじゃない
何かあるかもしれない、僕はこんなもんじゃない
何かあるかもしれない、僕はこんなもんじゃない
はんはそうやって大阪に来てから10年を過ごしてきていたのをわたしは注視してきた
「はるきくん、雨の日だと時給は上がるんだよ」
「でもね、雨の日に自転車に乗りたく無いんだ」
「稼げるんだけど憂鬱なんだよ」
「終わった後のビールがないとやってられないよ」
「はるきくん やっぱり酒だよ」
「酒は最高だよ」
「憂鬱なんだよ はるきくん」
はんは携帯が鳴るまでに本音をこぼしていた
「そんな事は顔を見ればわかるわ」
わたしは10年近く客商売をしている為、だいたいの人相や雰囲気でどんな人間かある程度予想がつく、常連になれば会った瞬間、顔を見れば今調子がいいか悪いかだいたいわかる
これはわたしの特技である
携帯が鳴った
はんは自分自身にギアを入れ
「はるきくん!!行ってくるよ!!」と語気を強め
自分自身に鞭を打った
完全に待ちの人生がそこにあった
いつまで待てばいいのだろうか
待って待って待ってその先に何かあるのだろうか
わたしは後ろ姿を見送りながらこう思っていた
「半年経ってもTシャツ一枚作らない」
「根っ子が腐ってる」
「もう手遅れだ」
「閻魔さまは見ている」
「待ってもはんには何もなし」
続く
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