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米国向けプロダクトにおけるアクセシビリティの重要性
米国市場に向けたプロダクトを開発する際、日本以上に意識すべきもののひとつにアクセシビリティがあります。本記事では、アクセシビリティの考慮が米国において特に重要な理由や、アクセシブルなUXを設計する際に確認すべきガイドラインなどについてまとめようと思います。
米国におけるアクセシビリティの重要性
米国は、その成り立ちが故に多様性に関して非常にセンシティブな国です。人種や民族のみにとどまらず、身体や認知などのあらゆる多様性を考慮することが社会として前提となっています。
米国には ADA:Americans with Disabilities Act という、日本でいうバリアフリー法のような法律がはやくから制定されており、これを基準として事業者はアクセシブルなデザインを設計する必要があります。この法律は一見、オフラインの世界に関する法律のように見受けられますが、米国ではオンラインのプロダクトにも適用されます。そして実際にウェブサイトが訴訟されるケースが米国では多く見られます。
例えば、ドミノ・ピザはウェブサイトがスクリーンリーダーに対応していないという理由で視覚障がい者から訴訟を起こされ、裁判所がそれを改善すべきという判断を下した事例があります。また、ビヨンセのウェブサイトもアクセシブルでないという理由で運用会社が過去に訴訟を起こされています。
このように米国では、公共の建物にスロープが必ず設置されているのと同様に、ウェブサイトも障がい者や高齢者が問題なくアクセスできるようにする必要があります。日本だと、民間企業(特にスタートアップ)におけるアクセシビリティ対応の優先度はビジネス判断で決まることが多いですが、米国ではウェブサイトにアクセスできることはもはや基本的人権の一部なので、確実に対応する必要があります。
アクセシビリティ対応のビジネス的なメリット
アクセシビリティ対応をすることは、誰も取り残さないUXを設計するという意味でそれ自体が重要なものですが、ビジネス的なメリットもあります。
まず、障がい者や高齢者だけでなく、健常者のユーザビリティも向上するということが挙げられます。例えば、メディアサイトがスクリーンリーダーに対応していると、Podcastのように移動中に聞くことができるでしょうし、キーボードだけで操作できるようにしていると、マウスが壊れた場合でも問題なくアクセスできるでしょう。いかなる状況においても使いやすいプロダクトであることは、ユーザの満足度向上につながります。
また、米国の障がい者人口は約18%といわれており、これは日本の障がい者人口である約5%と比べても非常に多い割合です(参考)。これは、アクセシビリティ対応をすることで、ターゲットとなりうるユーザがそれだけ増えるということを意味します。収益を1%増加させるための施策をあれこれ考える前に、まずしっかりとアクセシビリティ対応をすることで米国人口の約18%を追加で取り込める環境を整備することは理にかなっているといえます。
アクセシビリティに関するガイドライン
米国展開に向けてプロダクトをアクセシブルにする際、参照することのできるガイドラインがいくつかあります。
ウェブサイトの場合は、WCAG:Web Content Accessibility Guidelines という、W3Cがまとめているガイドラインが最も普及しています。 Perceivable(知覚可能)、Operable(操作可能)、Understandable(理解可能)、Robust(堅牢)の4つの原則で構成されており、それぞれの達成基準が3段階で記載されています。また、スクリーンリーダーの動作などをより細かく指定できる WAI-ARIA という仕様もあります。
モバイルアプリの場合でもWCAGの多くの基準が適用可能ではありますが、iOS、Androidそれぞれにおいて独自のアクセシビリティのガイドラインがあるため、そちらを参照することをおすすめします。
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