獣害のこと。
我が家は就農一年目ですが、私自身は5年ほど前から、農の道には関わってきました。
その中でも特に、高知の山の中の限界集落での農業研修では、本当に毎日毎日、ケモノとの闘いを強いられてきましたので、農業経験としては浅いものの、獣害に関する実際の体験や想いは、人一倍強いかと思います。
今日は、ちょっと吐き出したくてブログを書くことにしました。
農業されている方なら、程度の大小はあれほとんど誰しも獣害には悩まされていることと思います。特に近年では、今まで被害がなかったような場所でもイノシシ、シカ、サル、クマなどの食害にあることが非常に多くなっているようです。
あるコミュニティにて。畑を荒らすシカをとらえてジビエとして食す、という話題があがりました。そのテーマについて、ある方が「それの方法は本当の解決になるのだろうか。もう他の動物を食すことはやめていきたい。人間は本来植物だけを食して生きていけるそうだ。元々豊かだった山を荒らしたのは人間じゃないか。」というような内容のコメントをされていました。
この方が、農業されている方なのか、家庭菜園でも野菜を育てたことがあるのか、田舎に住んだことがあるのかなど知りません。
純粋に、動物の命を尊重したいという優しい心の持ち主なのでしょう。
けど…
食すかどうかは別としても、現状では、田畑を荒らす野生動物は、捕まえて殺す、という方法を取らざるをえないとわたしは考えています。
コメントされた方がおっしゃるように、野生動物が里に下りてくるようになったのは、完全に人間の責任です。
誰が悪いのかと言えば、間違いなく人間です。
山は荒れ果てています。これを何とかしない限り、田畑を荒らす野生動物の問題は解決することはないでしょう。
野生動物だって、命がけです。殺されるの危険があるのを知ってか知らずかは分からないけど、そりゃあできることなら山から下りてきたくなんかないでしょう。でも、下りてこないと、人間の作った作物を食べなければ生きていけないほど、山には彼らの食糧がなくなっており、生態系はめちゃくちゃになってしまったのでしょう。
それが分かった上で、でも、殺すしかないと言っているのです。
なぜなら、こちらも命がかかってるんです。
作物を全部食べられてしまっては、生活していけないんです。
じゃあ農業なんてやらなければいい、他の仕事をすればいいと思いますか?
人間は植物だけで生きていける、じゃあその植物は誰が作っているの?
山から採って来て食べるわけじゃないですよね?誰かが、つくってるんです。
野生動物から作物を守る手段は様々で、殺さないで守る方法を取ってるひともいます。
でも結局は同じことです。
その田畑で食物を得られなかった動物は、他の守りが甘い田畑を狙うって食物にありついて生き延びるか、他の誰かがしかけた罠にかかって死ぬか、食べるものにありつけずに餓死するか。
そういう結末を考えれば、捕らえた動物を食す、というのは命を無駄にしないという点でわたしは良い方法だと思います。
まぁ、山で餓死したって、その死体は分解されて山の栄養になっていくので無駄にはならないのだけど。
人間がどうしようもないくらいに荒らしてしまった山の環境を、野生動物が生きていけるまでに回復させるためには、大変な努力と年月がかると思います。もちろん、その努力もしていかなければならないでしょう。
でも、その努力をしながらも、その豊かな山が戻ってくるまでは、野生動物から自分たちの食べ物を守っていかなければならないのです。
田舎で畑をしたことがなければ実感はできないかもしれません。
ですが、「野生動物との闘い」は、誰かがやってくれてるだけで、誰しもが無関係ではないのです。
野菜、食べるでしょう?スーパーで買うでしょう?
その野菜をつくるためには、見えない努力がたくさんあるのです。
野生動物との闘いも、その一つです。
色々理屈を述べましたが。
なによりも、一生懸命育てた野菜が、一夜にしてすべて食べつくされたときの悲しさを想像できるでしょうか?
土を耕し、種を播き、草を刈り、人によっては肥料や農薬を撒き、水をやり、大きく育ったな、よしもうすぐ収穫だ、というときに、畑に行ったらすべてが食べつくされていた・・・
その時の気持ちが想像できるでしょうか?
悪いけど、わたしはイノシシとシカに「憎しみ」しかわきませんでした。
彼らが悪いのではない。わかってはいるけど、けど、憎い。
そういう思いをなんどもしてきました。
体験したひとにしかわからない、この気持ちが、「動物を殺して食べるなんて、可哀そう」と思っているひとに少しでも伝わればいいなと思います。
今日は、ただの愚痴でした。
なんか、直接言い返すのもなんだかなぁと思うし、一言で語れることでもなかったのでこんな場所で吐き出してみました。
賛否両論、あると思います。
わたしの個人的な意見です。
おわり。
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