📓歳をとるっていいもんだ、たぶんね

思えばここまでいろいろ無茶をしてきたと思う。
実家にいたら死ぬと思ったのが17歳、高校２年生の春。
そこからいろいろガマンして、家を出たのが21歳になる年の春。
若いうちの４年はとても長い。
母方の祖父母の街に住むということは、心の安寧をもたらした。

祖父はたまに
「オレが死んだらその辺に埋めといてくれ」
と言うことがあった。
法律上そうするわけにはいかなかったのだが、「してほしかったこと」はしてあげられたはずだ。
祖父もまた家を捨てた人だったし、祖母はそれに寄り添ってきた人だった。
「そのへんに」というのはつまり、「あの家の墓には入らない」ということであったと思う。
そもそも「あの家」がある地域はわかるけど、連絡先なんか知らない。
身軽なところは私にとって憧れで、わたしは祖母に似てると思っていたけれども、祖父にも似ているとなんとなく思う。

いろいろなものを捨てて生きてきた。
いろいろなものを捨てて生きてきたからこそ、何かにしがみついていないと自分を保てない人をみると「哀れ」と思ってしまう。
承認欲求の塊みたいな人とか、SNSがすべてみたいな人たち。
若ければまあまたそれも成長のための何かにはなるはず、と思ってぬるく見守れるけど、大人になってもそんな感じの人は「哀れ」よね、と思う。
この場合わたしが考える大人というのは具体的に30歳前後のことを指すけど、40歳になっちゃうともう修正できないことが多いので、ほんとうにかわいそう。

歳を重ねて思うことのひとつに「先輩方から衰えについて聞いてはいたけれども、はあん、こういうことなのね……」というものがある。
摂食障害の先輩方がよく「食べられなくなる」と言っているのを見て「そんなわけなかろう」と思っていたけれども、食べられる量はあきらかに減った。
それでも摂食障害なので食べるときは食べるけれども。
どんなに急いでいても絶対走りたくないのは昔からだけれども、本当に走りたくなさすぎるし階段は存在がちょっと意味わからないし、座りすぎると腰が痛いけど動きたくない。
最近のことでいうと、今年から急にかかとがカサカサになってきて困ってる。
なんだこれ、っていう感じ。
以前、ジンベエザメを触ったときに「鮫肌！」って思ったけど、そんな感じ。

圧倒的衰え力を発揮している最近だけれども、わたしはこんなに衰え力を発揮しているのに、あいかわらず５〜10歳くらい若く見られることが多くて困っている。
困っているし、こんなに困っているのに、このことを言うと「自慢」とか「若見えアピール」とか言われるのも困っている。
なのでこの気持ちをここに置いておく。

わたしより10歳以上年上の人から「フロッピーディスクとか知らない世代でしょ」とか言われるのはまあ序の口。
年上の人から若く見られるのはまあ、実際若いわけだし、そんなに問題でもないし、慣れた。
あ、でも、若いと思ってたのにそうでもなくてがっかりされてキレたことはあったね。
あなたの思い込みに勝手に巻き込まないでしいわよね。

あと困るのが「教えたがりオジサン」の存在。
「年下の子に教えてあげてすごいと思われたい」っていうのがミエミエすぎてきんも、って感じの人たち。
「年下の子に教えてあげたい」というより「自分より下」の存在がいないと自我を保てない人たち。
自分が歳をとることで、残念なことに、このタイプのオジサンに進化（退化？）した年下の人が増えてきたのが非常に面倒くさい。
私のことを年下だと思って「教えてあげる」っていう感じで見当違いのことを言ってくる人たち。
哀れ！
わたしは非常に面倒くさがりなので、私のほうが年上だっていうことも、その内容が見当違いだっていうことも言わないで、金輪際関わらないようにする。
だいたいわたしのほうが詳しいケースが多いんだよねそういうとき。
だからこそ面倒くさいじゃんねえ、いろいろ。
そういう人って、他人に対して「人に物を教わる態度」のことをなんだかんだ言うくせに、自分がなってないこと多いしね。

生きるのはほんとうに面倒くさい。
人生もっと早送りできればいいのにね。
光の速さでどんどんどんどん歳をとってゆきたい。
１つ歳をとったり、１年が終わったりすると、
「いいねえ、でも、もっともっと速度出せるよねえ？」
とか思っちゃう。

そういえばわたしの母もすっごく若く見られるし、めっちゃよく食べるし、母方の血を濃く遺伝してるのがわたしなんだろうねえ。

たぶんね。