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クジラと泳ぎに行ったら逆さまのフクロウを見て、魔除けの塩をかけられた話【奄美大島】

奄美大島が大好きで、これまで何度も訪れている。
朝はルリカケスやアカヒゲのいる森を散歩し、昼間は釣りをしたり、サンゴの海でアオウミガメと泳ぎ、夕方ハンモックに揺られながら子犬と戯れ、夜はアマミノクロウサギやイシカワガエル、リュウキュウコノハズク等を探して過ごす。

美しいルリカケス
この鳥の名が付いた黒糖焼酎がとても美味しい
いつも多くのアマミノクロウサギに出会う

こうした穏やかな日々を過ごす場所として大事にしてきた奄美大島だが、2019年2月、私は新たな挑戦を試みた。それは「ホエールスイム」。

冬の海にウエットスーツで飛び込み、ザトウクジラと泳ぐというプログラム。ホエールウォッチングは多々あれど、クジラと泳げる機会はなかなかないため、忙しい仕事の合間を縫って2泊3日の弾丸旅行を組んだ。

着いた当日、当たり前のように一人で夜の散策へ。
車を走らせアマミノクロウサギなどを観察していると、目の前にバサバサっと何かが飛んできて、ヒョウタンのように木にぶら下がった。
よく見るとそれはリュウキュウコノハズクで、どうしてか片足で枝に逆さまにぶら下がっている。その状態を5,6秒続けたあと、よいしょっというように起き上がった。

「???何が起こったんだろう???」
そう思いながら慌ててシャッターを切って、その理由がわかった。
このフクロウ、おそらく片目が見えないのだ。故にバランスを崩しやすく、うまく木にとまれず逆さまになってしまったのだろう。

起き上がった後。左目が見えないと思われる


これは面白いものを見たとワクワクしながらその日は帰路につき、翌日からの寒中水泳に備え眠った。

翌日、ホエールスイム船乗り場につくと、見覚えのある方がいる。
なんと、以前野生動物系の学会で知り合った、環境省のレンジャーでコウモリの研究をされている方だった。
なんて偶然と再会を喜びつつ、わくわくしながら昨日見た逆さまのフクロウの話をすると、その方と船長さんの顔色が変わった。

「逆さまのフクロウを見たら、大きな災難が降りかかるって奄美では云い伝えられているんだよ。船に乗る前に塩で体を清めなさい。」

そういって私は魔除けの塩を掛けられた。
その後少し不安もあったが、ザトウクジラの子供が私の真下を泳いでくれたり、親子クジラに出会うことができたりと、災難どころか幸運しか起きなかった。災い転じて福となす?未災いだけども(笑)

直ぐ下を泳ぐザトウクジラの子供
ザトウクジラの親子もいたよ

この、「逆さまのフクロウは災難を呼ぶ」説の由来だが、この記事を書いていて思いついた。
「災い転じて福となす」の逆、一般的に日本では縁起の良い「福ロウ」が逆さま→福の反対→災難、ではなかろうか。

次に奄美に行った時に、島の方に尋ねてみようと思う。

本日のお気に入りNo.6

菊田佳代さんのクロウサギのガラスの小皿

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仙台のコミュニティFM『ラジオ3』で、『生き物調査員の内緒話』というコーナーを担当しています。隔週火曜日16:25分くらいから10分間程度の番組です。次回は2025.1.28放送予定。
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