映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 - ジェームズ・ガン監督が描く新たな「決死部隊」
こんにちは、Palm🍿【パーム】です！
今回はIMAX上映で2回、ドルビー通常上映で1回通常上映で1回、上映が続いてれば今でも観たい映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』について熱く語っていきます。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでお馴染み、ジェームズ・ガン監督のアクション映画で、ガーディアンズは当時、映画史上最も劇中で死者が出た作品として記録されていますが、今作はモブキャラ主要キャラ関係なく散ってゆく様子を容赦なく描いています。
音楽×ジェームズガン監督は最強と方程式が出来ているので、今作も予告はあまり見ずに劇場で鑑賞しました。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は、2021年に公開されたDCコミックスを原作としたアメリカのアクション映画であり、ジェームズ・ガンが監督を務めた本作は、2016年に公開された『スーサイド・スクワッド』の続編的な位置づけにある。
前作の『スーサイド・スクワッド』を観るとより楽しめるが、この作品のみでもかなり楽しめるような仕上がりになっている。
しかしながら、前作から多くの点で刷新されており、異なるキャラクターやトーン、ストーリーテリングを用いた、新たな「悪党たちの物語」を描いている。
キャラクターたちの異常な魅力
本作の最大の特徴は、何といってもそのキャラクターたちである。
犯罪者であり、ヒーローとは言えない者たちが主役を張るこの「スーサイド・スクワッド」は、DCユニバースの中でも異色の存在だ。
リーダーであるアマンダ・ウォラー（演：ヴィオラ・デイヴィス）が監視するも、どこか制御不能なこの集団は、敵に回しても味方にしても危険極まりない。
ウィル・スミスが前作で演じたデッドショットに代わり、今回の主要キャラクターにはブラッドスポート（演：イドリス・エルバ）が加わり、チームを引っ張る。
彼は娘を守るために仕方なく政府の命令に従うという複雑な背景を持つ、実力派の殺し屋である。
そのほかにも、口の悪いサメのナナウエ／キング・シャーク（声：シルヴェスター・スタローン）や、自らの体内から生成される武器を操るポルカドットマン（演：デヴィッド・ダストマルチャン）、ハーレイ・クイン（演：マーゴット・ロビー）といった個性豊かなメンバーが集結している。
それぞれのキャラクターが自分の信条や欲望に基づいて行動するため、チームとしての一体感に欠けるのは事実だが、その不安定さこそが『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の醍醐味である。
ストーリーの緻密さと予想外の展開
物語は、彼ら「悪党たち」が秘密任務を遂行するため、敵国である南米の島国に派遣されるというものである。
任務は単純なもののように見えるが、次第にその裏にある巨大な陰謀と、予測不可能な展開が待ち受ける。
ジェームズ・ガン監督の手腕は、こうした複雑なストーリーテリングにおいても光っており、観客を飽きさせることがない。
特に、各キャラクターがどのように「集団」から個々に分かれ、最後にはどのようにして一つの目的に向かうかという過程は、巧みな演出とストーリーテリングによって描かれている。
この映画の魅力は、アクションシーンの迫力に加えて、予想を裏切る展開の数々にある。
ジェームズ・ガンのユーモアや過激な演出がふんだんに盛り込まれ、観客は笑い、驚き、そしてキャラクターたちの運命に感情移入する瞬間が繰り返される。
特に終盤の大規模なバトルシーンは、派手な特殊効果やメカ好きなら大興奮のガジェット、政府に仕えるもの同士の「正義」がぶつかるスリリングな展開が連続し、映画全体を一気に盛り上げる。
ジェームズ・ガンの作家性と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』との違い
ジェームズ・ガン監督と言えば、マーベルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでの成功が記憶に新しい。
両作品に共通するのは、個性的なチームが主人公であり、アクションとコメディを絶妙にミックスした作風だ。
しかし、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ではよりダークでグロテスクな側面が強調されており、暴力描写や過激なユーモアが前面に押し出されている。
ガーディアンズのような家族向けの作品とは一線を画し、大人向けのブラックコメディが展開される点が特徴だ。
ガン監督は、キャラクターを単なるヒーローや悪役として描くのではなく、彼らの持つ人間的な弱さや矛盾を浮き彫りにする。
その結果、観客は単なるアクション映画としてだけでなく、より深いキャラクタードラマとしても本作を楽しむことができる。
ハーレイ・クインの再解釈
また、本作ではハーレイ・クインの描かれ方にも注目すべきだ。
前作『スーサイド・スクワッド』や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』での彼女のキャラクターは、そのカリスマ性と過激な行動が際立っていたが、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ではより一層、彼女の内面に焦点が当てられている。
特に彼女の自由奔放な性格と、周囲の常識やルールにとらわれない姿勢が、チームの中で独特の位置を占めている。
彼女が映画の中盤で繰り広げる暴力シーンは圧巻であり、ガンの演出力とロビーの演技が見事に融合したシーンと言える。
観るべき価値とは？
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は単なるアメコミのアクション映画の枠にとどまらない。
観客に与える感情的な衝撃、ユーモア、そしてキャラクターたちの個性は、エンターテイメントとしての映画体験を一段高めるものだ。
ジェームズ・ガンの作家性が全面に押し出されたこの作品は、DCユニバースの中でも異色であり、これまでのスーパーヒーロー映画に飽きた観客にも新鮮な驚きを提供するだろう。
また、作品の中で描かれる「チーム」としての不安定さ、矛盾、そして個々のキャラクターが持つ内面的な弱さは、観る者にとって共感や考察の余地を与える。
スーパーヒーロー映画にありがちな単純な善悪二元論を超え、複雑な人間模様を描く本作は、アクションとドラマが絶妙に融合した傑作と言ってよい。
おわりに
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は、ジェームズ・ガンが放つユニークな視点と、個性豊かなキャラクターたちが織りなす壮大なエンターテイメント作品である。
前作のスーサイド・スクワッドとは異なり、キャラクターそれぞれの内面的な葛藤や成長が丁寧に描かれており、単なるアクション映画以上の深みを持っている。
過激なユーモアと暴力描写が織り交ぜられたこの作品は、観る者に驚きと笑い、そして感動を与えること間違いない。
本作は、スーパーヒーロー映画というジャンルに新たな風を吹き込み、ジェームズ・ガン監督ならではの世界観を存分に堪能できる作品となっている。
個性的なキャラクターたちが繰り広げる予測不能なストーリーと、その背後にある人間ドラマは、映画ファンならずとも必見の一本である。