村上春樹「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」読み解きメモ
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アカ…朱雀
アオ…青龍
シロ…白虎
クロ…玄武(福建省では黒虎)
たさ「き」つくる…麒麟または黄竜
木本沙羅…沙羅双樹(涅槃の象徴)
鏡子の家
大宰「斜陽」-三島「鏡子の家」-春樹「多崎つくる」
「鏡子の家」清一郎、峻吉、収、夏雄が「多崎つくる」アカ、アオ、シロ、クロに対応
鏡子は多崎つくる、四人を繋げる役割
ニーベルングの指環
緑川…春樹作品における「悪」的存在
「死のトークン」の話をする
灰田父と緑川がであった「旅館の前には美しい谷川が流れ」ていた(Kindle版・位置No.924)
「裏庭で薪を割って運んでいる」灰田父(位置No.1008)
「精神の跳躍」(位置No.1033)…マルクス、ニーチェとの関連性
…悪魔との契約(「指環」の下敷き、「ファウスト」)
…恐らく「指環」の呪い。資格を持った人間は、人間が一人一人持っている「色」を見分ける力を持ち、「ある種の色を持った、ある種の光り方をする人間」(位置No.1102)ならば、その死を了解の上で肩代わりしてもらえる
…沙羅のリングは「指環」と対応している?
・ヴォータン=オーディン
オーディンはドイツ語でヴォータンと呼ばれる。「指環」ではさすらい人として森に現れ、ジークフリートと対峙する。つくるをハアタイネン一家(クロの家族)のサマーハウスへ導く、「親切な老人」(位置No.3326)の正体がこれにあたる。
上記の「黒い鳥たち」はワタリガラスのフギン(=思考)・ムニン(=記憶)に対応。ヴォータン=オーディンはこの二羽から世界中の情報を集める。
老人が被っている「古いハンチング」(位置No.3328)=オーディンが被るつばの広い帽子
オーディンは死の神。故に「冥界への道筋を既に死者に教えた死神のように」(位置No.3346)と形容される。
・闇の奥
霊肉二元論
東洋/西洋文化の橋渡し役になり得る観点
つくるは当時、シロとクロを異性として意識しないように一組の、肉体を固定しない観念的な存在として見ていた
以下、不思議な謎の女性への嫉妬の夢
嫉妬とは囚人が自らを閉じ込めた牢獄
その後つくるは再度眠りに落ち、現実のような夢を見る(現実と夢の合一・分裂の解消)。シロ・クロ・灰田との交合
夢の内容は「絶対者からのメッセージ(位置No.844)」?…つくるは預言者、「自由意思を超越したところで行われ」、「そこには背反性もなければ、二義性もない」。つまり分裂がない
…ラカン?
その夢はほぼ定期的(位置No.1498)
その他
沙羅はつくるより二歳年上…「春の雪」の聡子・清顕?
「共同体」存続のルールは言語化されず…日本的?
曲集『巡礼の年』第一年、スイスの巻
フランツ・リスト『ル・マル・デュ・ペイ』
…『田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ』の意
沙羅が感じた、つくるが「どこかよそにいる」(位置No.1300)ような感覚…「ダンス・ダンス・ダンス」に類似
神(マレビト)の代受苦?
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