ヘラクレイトス
アナクシマンドロスから対立と変化、ピュタゴラスからは調和の考えを受け継ぐ
ニーチェ、ショーペンハウアー、ハイデガーなどに影響を与える
ハイデガー「被製作ではなく生成」…ヘラクレイトスの引用
博識批判
断片40
博識は分別を教えない。なぜならもし教えるのであれば、ヘシオドスにもピュタゴラスにもクセノパネスにもヘカタイオスにも教えたはずだから。
断片42
ホメロスは競技場から放り出され、鞭打たれるべき輩だ。アルキロコスも同じ。
古代ギリシアの教養
断片 57
大多数の者の先生はヘシオドスである。
断片105
ホメロスは天文学者であった。
彼らは神や世界について語った
知に対する誤解…「知は所有されるもの」という前提
108
わたしがそのいうところを聞いた限りでは、知がすべてからかけ離れたものであることを認識するにいたった者は誰一人いなかった。
78
なぜなら真の認識は人間習性の有するところではなく、神的習性の有するところだからである。
不可知論ではなく、知識と知を区別する
ヘラクレイトスにとっての知
①「共通のロゴスに従うこと」
②それによって得られる「分別」
共通のロゴスとは理
ロゴスは誰にでも理解できる
→個別の知識の延長線上に習得されるものではない
博識を目指すこととは
22
黄金を求めるものは大量の土を掘り返すが、得られるものはわずかである
35
知を愛するものは多くの事柄の探究者でなければならない
自己探究
101
わたしはわたし自身を探究した。
→自己探求が知への態度に関わる
万巻の書を読んでも自分自身についてはわからない
知識というものの有り様は他者支配という形態を取らざるをえない
知識で汲み尽くせるもの
①三角形の内角の和は180度
② 前399年にソクラテスが死刑
③私とは◯◯である
1・2は対象の完全把握。しかし3は異なる
→自分への知が不足していると、本音と建前の癒着が起こる
ヘラクレイトスはそういうものと無縁だった
我々は自己自身から物事を探求するのではなく、
既にある知識の積み重ねに基づき、自己の存在を位置づけている
その結果、自己を忘却してしまう
自然観
自然を観察した事実に基づく自然観ではない
自然の存在の意味、摂理を考える
同じ川に二度足を入れることはできない
同じ川にわれわれは入っていくものであり、入っていかないのでもある
われわれは存在するとともにまた存在しないのである
→どうして「同じ」と言えるのか
万物流転なら、同じかどうか不明
でも実際には、同じと見なしている
同じ川とみなすことは、
知識化による人間の所有と支配
という目的に由来することを示す
川を利用し、 所有し、 支配するため
◯◯川だと同定する
同じ川と見なす自分は何を考えているのか?
そのような自己認識を促している
・神話批判・哲学批判の火
『火』を起点として万物は絶え間ない生成と変化を繰り返している
30
この世界はすべてに同じであり、神々にせよ人間にせよ、誰かが造ったというようなものではない。
むしろ一定量だけ燃え、一定量だけ消えなが ら、永遠に生きる火として常にあったし、〔今も〕あり、〔将来も〕あるであろう。
世界を作ったのは誰か、何か、どんな神々がどう作ったのか
これを知識として理解する営みをヘラクレイトスは断固拒否
世界や神についての知を持つもの
→支配者・権力者
66
なぜなら火がやって来て、すべてのものを裁き罰するであろうから
→あらゆる思惑や蓄積と無関係
むしろ思惑や蓄積を否定するもの
それが火、 世界の秩序
・反対の一致、対立の調和
8
反対のものが協調する。 異なったもの同士から最も美しい調和が生じる。万物は争いによって生じる
ヘラクレイトスの積極的な自然観
『闘争は万物の父』…ヘーゲル『弁証法』の出発点に
・違うものが同じ
59
梳毛器の道筋はまっすぐでもあり、曲がってもいながら、ひとつの同じものである
60
上り道と下り道はひとつの同じもの
・『万物流転説』(パンタ・レイ)
世界は絶えず変化していて
一度として同じ瞬間はやってこない
その変化によって現象が発現して世界を作っている
根源的な一者
哲学史上初めて、「根源的な一者」と「多くの表面的なもの」との関連を打ち出す
「万物は一である」
「一から万物が生まれる」
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