とある、おはなし。

願わくば、小さな恋が歌のように響いて
その歌が【あなた】に届くことを願っている。

そして【瞳】の意味に気付かないことを、本当の愛に溺れないことを強く願っている。


登場人物

ゆう。…ピグパでほうきをかじってる狂人。
アイリス…ピグパ歴が短いのに何故か先輩。


博愛の話。


空と同じぐらいの青色の瞳を出して、白色の瞳は紺色の髪の毛へと隠す。
今日は大事な人と出掛ける日、"彼女"の色を持つ僕の瞳は自慢だ。常に鏡を見れば、大好きな彼女が思い浮かぶ色が覗く。

耳も尻尾も、昨日の夜、いつもよりも値段の高いシャンプーやリンスを使ってトドメのオイル。
鏡を見ながらキメの細かいブラシで通して、ぴかぴかに光る毛並みに満足する。

「んふっ」

興奮して鼻が鳴る。
完璧に仕上げた尻尾が勝手に左右に揺れるから、左手で掴んで、右手だけでスマホを操作する。

約束の時間まで、あと少し。

今日も世界が優しい。



不滅の愛の話。


いつもなら彼と同じ毛の色と同じ白い髪の毛にするところを、少しだけいじわるして黒っぽいものにする。きっと彼は少し戸惑って、笑顔で「黒っぽいのもいいね」と言うだろう。
緑色のワンピースは見えにくくして、気付いてくれたら良いかな程度。

青色のカーディガンの下に、本当の気持ちも隠してしまえばいい。

鏡に写る姿が完璧で、紫色の瞳を歪ませて笑う。

「今日も俺はかわいい」

届いたメッセージを読まず、静かに玄関から出ていく。
今日もアイツが易しい。


メモ。

緑色の目は嫉妬(しっと)の象徴
青色の目は博愛(はくあい)の象徴
赤色の目は激烈(げきれつ)の象徴
紫色の目は独占(どくせん)の象徴
茶色の目は慈愛(じあい)の象徴
黒色の目は孤独(こどく)の象徴


優しい…物腰が柔らかで、荒れておらず落ち着いている。
易しい…扱いが簡単である。

これは僕と先輩の話。


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