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大変なことが起こっています

まさか。オレたちは預言者だったのか?
そんなことが頻繁に続くようになった。

kouchan なるオレと、higupon なる彼女が、オトキン「大人の暇つぶし金曜案件」で、「光州事件」を扱った感動映画をネタに、あーだこーだと喋っていた。いたって不真面目な動画づくりにチャレンジしているが、どうやら予言や予測が的中しそうでなんとも気持ち悪い。

韓国で何かが起こるんじゃないか!!  映画『ソウルの春』のあまりのリアルさと、韓国での熱狂にオレたちが、そんな不安を抱えた矢先のことだった。

ユン大統領が2024年12月3日の深夜に、禁じ手とも言える「非常戒厳」という戒厳令を発表したのである。

中央選管に戒厳兵300人が突入し、戒厳兵280人が国会に到着。さらに50人の兵士が塀を乗り越えて国会に進入したが、国会に出席した議員190人の賛成で、この戒厳令は解除された。

これは事件である。節操のない韓国トップの連中が、またも潰し合いをしている。こりゃ大変である。
 
このニュースを見て、日本ではなじみのない「戒厳令」を、どう受け止めたらいいのか議論になっていた。知り合いの一人は「あの戒厳令って何ですかね? 防災訓練のようなもんですか」と言ったほどだった。テレビをつけると、野党はまるでお祭り騒ぎで、ユン大統領の弾劾を叫んでいる。

むろん野党が大騒ぎするのは当然である。ここで立ち上がらねば、戒厳令は正当化される。

ちなみに、戒厳令といえば、戦争や自然災害、暴動などの緊急事態が起こったときに、国のさまざまな支配権を軍部に移行する法的措置を指す。たとえば、韓国の場合には、北朝鮮が攻め込むなどのヤバい状況では防衛のプライオリティが高くなるために、国民の権利を制限しせざるを得ないというリクツから、「非常戒厳」という名の、戒厳令を敷く権利を、大統領が握っている。

この戒厳令を使えば、警察や軍を命令で自由に動すことができる。令状なしに反抗する国民を逮捕でき、新聞社や放送局をなど占拠して報道を規制することも可能になる。これを取り消すことができるのは、韓国では国会の決議なのだが、国会を封鎖してしまえば、取り消しもできないということで、深夜にもかかわらず、180人もの国会議員が国会に行き、同時に多数の国民が駆けつけて、押し問答になった。職員たちは、椅子を立てかけてバリケードを築く様子は、まさに日本の安保闘争を思い出させた。

ほんとうにユン大統領が、正気を失っていたとすれば、もっと悲惨な事件になったかも知れなかった。

こんなヤバくて強力な禁じ手を、ユン大統領が平時に使ったというのは、これは許せないと、野党勢力が集団ヒステリー状態になったのはムリのないことだった。

韓国では、1980年5月18日から27日にかけてそういうことが起こった。光州で韓国軍が民主化を要求する自国民を大量虐殺した。それが前述の光州事件だった。

ところが今回の事件では、そこまでの切迫した状況ではなかったのに、平時に戒厳令を出したユン大統領が悪いと、野党がのろしを上げた。50万人もの人たちが国会前に押しかけ、もはやお祭り状態である。弾劾追訴を訴え、検察もユン大統領を内乱罪で捜査を始めたという。内乱罪は、無期または死刑という重罪である。

またか、である。

韓国では、文在寅と崔圭夏の二人を除けば、大統領は不幸な末路をたどっている。

なぜそうなってしまうのか? それは、2022年の映画『キングメーカー 大統領を作った男』(ビョン・ソンヒョン監督)が参考になるだろう。

「厳昌録(オム・チャンノク)の実話をベースに、生き馬の目を抜く苛烈な大統領選の裏側を描いた」と告知されるように、主人公のソ・チャングは、オム・チャンノクという実在の人物を描いている。与野党双方の陣営が、勝つためには手段を選ばない。詐欺行為などはへっちゃらで、自作自演の爆弾騒ぎまで起こしてしまう。ユン大統領の「国民向け談話」を読むと、野党の側の攻撃の異常さも、この『キングメーカー 大統領を作った男』とオーバーラップしてくる。

ここで、映画は、所詮、映画なんじゃないか、と思ってしまう人がいるかもしれない。
しかし高まる民主化運動を、非常戒厳後のクーデター、12・12軍事反乱を描いた映画『ソウルの春』は、昨年、1300万人以上を動員している。

5100万人程度の人口で1300万人の動員は無視できない数字だ。韓国の中央日報によれば、今回の非常戒厳騒ぎの後で、『ソウルの春』を動画配信で見た視聴者が、韓国内では1000%以上急増したという。

また同紙によれば、「昨年11月の公開当時、20~30代の観客の間では、観覧中に心拍数が上がった写真をオンラインに投稿する『憤怒チャレンジ』が流行した」のだという。

オトキンで、以前に取り上げた2018年に日本公開された、韓国映画『タクシー運転手』(チャン・フン監督、ソン・ガンホ主演)や、2013年の盧武鉉を扱った『弁護人』(ヤン・ウソク脚本・監督)なども、必見の映画であることは言うまでも無い。

ユン大統領は、非常戒厳を発表した直後に、戒厳兵300人を中央選管に突入させている。これをオレたちは、野党の不正選挙を暴くためのガサ入れではないかと予測していた。むろんファクトはないので、陰謀論の領域を出ていなかったのだが、その後、一部にそういう報道も出始めたようである。

韓国は、まぎれもない分断国家であるが、さらに国内を分断するようでは、北朝鮮が4分の3になり、韓国は4分の1になってしまう。

笑うに笑えないシャレにならない話が続いている。


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