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ガメラはレギオンを許さないから(前編)

物心が付いた頃から、俺は怪獣映画が大好きだった。
初めて父親に連れられて見に行った映画は「ゴジラVSキングギドラ」だったのは未だによく覚えてる。
当時はまだシネコンなんてものは無く、あったのは地元の小さな映画館でスクリーンは一つしかなかった。
薄暗い受付、食べ物もポップコーンではなく市販のスナック菓子、劇場限定でしか売ってないゴジラのマスコットガチャガチャ。
目を閉じればその光景は今でも鮮明に思い出せる。

この頃の映画と言えば「ゴジラ」か「ドラえもん」のツートップだった。
毎年新作が作られ、その度に父親に映画館に連れて行ってもらった。
うちの母親は病気がちでよく入退院を繰り返していたため、娯楽施設や遊びに連れて行ってくれたのはもっぱら父親だった。
当時はバブル真っ盛りで父親も仕事が忙しく何日も家に帰ってこない日が多かったが、休みの日になると必ずと言っていいほど色んな所に連れて行って貰っていた。
その中でも一番楽しみだったのはやっぱり映画を見に行く事だった。

1994年、当時住んでいた栃木県小山市の小山駅にイズミヤというデパートができた。
その当時地元には長崎屋、キンカ堂、イトーヨーカドー、Dマートという、この時期小山市に住んでいた人ならわかるであろうデパートがあったけど、このイズミヤはとにかく凄かった。
テレビの向こう側でしか見た事ないようなキラキラとした都会の大型デパートのような、ひと味違う所だった。
その中に初のシネコン(シネマコンプレックス)のロブレ5という映画館が入っていた。
オープン当時に見に行った映画は高嶋政宏主演の「ヤマトタケル」、未だによく覚えてる。
というのも、家族3人で見に行った映画が後にも先にもこれだけだった気がするからだ。
その後も「平成狸合戦ぽんぽこ」や「東映アニメ祭り」、「学校の怪談」などよく見に行った。

そして翌年の95年に一作の特撮映画が公開された。

ガメラ-大怪獣空中決戦-

昭和時代に東宝のゴジラと双璧をなした、大映の看板作品ガメラ。そのリブート作品だ。
ガメラももちろん大好きだ。
幼稚園の頃からビデオで何十回と繰り返し見た。ギャオス、ギロン、バイラス、ジャイガーと…バルゴンとジグラは何故か記憶にないけど一応は見ている。
ゴジラのソフビと合わせてガメラもよく父親に買ってもらっていた。
そのガメラが1980年の「宇宙怪獣ガメラ」以来の15年振りの復活、当時もかなり話題になっていた。

「ガメラが」と言うよりも「怪獣映画が」見たかった俺は父親に見に行きたいとせがんだ。
もちろん父親も映画が好きなのであっさり了承してくれた。何より映画館が地元の近い所にあるというのが良かったのかもしれない。
そして、巨大スクリーンで初のガメラを鑑賞した。

おそらく当時の俺は、ゴジラと同じような展開、というより昭和版ガメラのような展開を期待してたのかもしれない。
見終わったあと、よく分からないという感想があった。
後々になって見れば重厚なストーリーと革新的な特撮技術とVFXは当時の映画にしてみれば素晴らしいクオリティだ。だけど、まだ8歳の子供にはそれはあまりにも「大人」過ぎた。
確かに楽しかった、けど「面白いか」と言えばそうでもなかった。


それが俺の平成ガメラとのファーストコンタクト。
この翌年に人生に食い込む程の傑作が公開される。
でもそれに気付くのはまだまだ先の話になる。



多分続く。


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