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ガメラはレギオンを許さないから(後編)
中学2年の冬、まだ受験に焦る年でもなかった頃。
自転車である程度距離のある場所まで行動範囲が増えた俺は、行きつけのレンタルビデオ屋にいた。
この頃からちょくちょくビデオを借りてアニメや映画を見てたから前回の記事みたいな人間になるのはある意味必然的だったのかもしれない。
何を見ようか物色していると、特撮映画コーナーに入っていた。
「たまにはゴジラかガメラでも見ようか」
いくら興味が無くなっていたとはいえ、やっぱり好きなものは好きなわけで、ジャケットを見ると見たくなってくるものである。
どれを見ようかと探していると、何故か「ガメラ2」が目に留まった。
本来なら一作目を手に取るのが普通だが、一作目は多分その頃金曜ロードショーで放送してたのを録画していたからかもしれない。
それに2はあまり記憶に無くどんなストーリーだったかもいまいち思い出せなかったからだ。
唯一覚えてるのは「足利」が最後の決戦の舞台になっていた事くらいか。
今なら新鮮な気持ちで見れるかもしれない、そう思うと借りるビデオの候補に入れた。
家に帰るなり早速ガメラ2のテープをデッキに入れる。
前の記事にも書いたが、この頃はまだDVDなんてもんはそんなに普及しておらずまだVHSというアーティファクトを使っていた。
「リング」でも呪いをばら撒くためにVHSなんてわざわざ使ってたんだからご苦労な事である。
それはさておき、テープを再生するとこの当時にリリースもしくは公開予定の映画予告がバンバン流れた。
ちなみに言うと、俺は映画の予告編も大好きだ。
多分こういうところでいっぱい見ていたのが影響したのか、YouTubeでも映画の予告だけを集めたプレイリストまで作ってある。
だから映画の予告編はなんぼでも見れるのである。
また話が逸れたが、予告編が終わりいよいよ本編が始まる。
ガメラ2を初めて見たのは10歳の時。
あの時は内容がいまいち理解出来ず、正直そんなに面白いとは思わなかった。何なら記憶から薄れていた程である。
それがどうだ、あれから約4年後の14歳になって見たガメラ2は。
めちゃくちゃ面白いじゃん!!!
どういう事だろうか、ありとあらゆる場面全てが面白い。むしろこんなにエキサイティングでワクワクする映画だったっけ?と感動すらしていた。
あの時退屈に感じていた自衛隊の活躍、科学的に分析して対策を考える人達、そしてその場面を盛り上げるBGM…全てが完璧だと思った。
たった4年でこんなにも変わるものだろうか。
いや、むしろ最初に「つまらない」と思っていたのが変に思い出補正の逆をいってしまっていたからなのか…いずれにしても、今まで見てきた怪獣映画でこんなに面白いと思ったのは初めてだった。
怪獣が出てくるからではなく、怪獣以外の人間たちの奮闘っぷりが何とも言えない気持ちよさを感じたからだ。
ガメラとレギオンの戦闘シーンもよく見れば見るほど細部のこだわりに気付く事ができて、特撮映画の凄さも改めて思い知らされた。
おまけに厨二病をくすぐるような聖書の一説も飛び出し、当時の俺はやたらパソコンでその分をWordで書きまくったものである。
これを見てしまってしばらくはゴジラがものすごく陳腐に感じてしまう程だった(でもゴジラはゴジラで好き)
ここで初めて当時買ったパンフレットを熟読することになる。
そりゃそうだ、こんな難しい映画のパンフレットを当時10歳のガキンチョが読んでもなんのこっちゃである。
読んでいるうちに監督・金子修介、特技監督・樋口真嗣、脚本・伊藤和典、音楽・大谷幸という名前を覚えた。
この人たちがこんな凄い映画を…もうこの時から役者よりも監督やスタッフの名前を覚えるようになっていたから、何がきっかけになるかなんてわからないものだ。
それからというもの、俺は狂ったようにガメラ2を何回も何十回も繰り返し見た。
見れば見るほどまた違った面白さに気付いて、俺はもうすっかりガメラの虜になっていた。
あと、最初の舞台が北海道の札幌というのがまた良い。別に北海道には縁もゆかりも無いが、行ったことのない土地のローカルネタや土地の風景をテレビ越しに見るのが結構好きなのでそこがツボにハマった要因の一つかもしれない。
途中仙台を挟んで、先にも書いた最終決戦の舞台がどういう訳かこのガメラ2を見た栃木県足利市というのが何よりも面白かった。
一番ここがツボだったのは父親の方だったけど(父は足利出身)
という、あまりにも記憶に無さすぎて逆に新鮮さと斬新さ、その他のスパイスが効いたおかげで俺はガメラ2を今まで見た映画ベスト5に入れるほど好きになっていた。
それは今でも変わらずだ。
2014年には「GODZILLA(ギャレゴジ)」、2016年には「シン・ゴジラ」、2023年には「ゴジラ-1.0」と面白い怪獣映画がどんどんアップデートされている。もちろんどの作品も素晴らしいし大好きだ。
けど、あのガメラ2という作品は平成という時代の、しかも新鋭の特撮技術がふんだんに使われて尚且つストーリーが濃密というあらゆる要素が上手く噛み合ってできた、まさに最高傑作だと言ってもいいと思う。
と、ここまで長ったらしく思い出と感想を書きまくった訳だけど、果たして文章として成立してるのかどうかももう訳がわからなくなっている。
でもわかってほしい、これが俺の好きという表現の仕方なのだ。
語彙力も文才も無いアホな俺が、溢れる好きを書くとこうなってしまう。
もしこれで少しでも伝わってくれたら、それだけでも本当に嬉しいです。
最後に、ガメラ2で草薙浅黄が言う好きなセリフを唐突に書いてこの記事の結びにしたいと思います、
ガメラは生きてます、必ず復活します。
だって…
ガメラはレギオンを許さないから。
終わり終わり。