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歴史上最も高く買収されたプロスポーツチーム
コロナ期間中は危機に瀕していたスポーツチームでしたが、コロナが明けた途端に記録的な高値で買収され始めました。
これまでで最も高い価格がついた買収のなんと上位5チームが、コロナ明けの2022年から2023年に買収されています。
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1位はアメリカンフットボール NFL のワシントン・コマンダーズです。
厳密には、2023年4月現在まだ買収は成立していません。ただ、他のオーナーの了承もすでに得られたとのことで、買収が完了すれば史上最高額での取引となる予定です。
その額は実に61億ドル(約8000億円)です。
現在のオーナーのダン・スナイダーは1999年に8億ドルでコマンダーズを買収していますので、7.5倍で売却することになります。
2位は英イングランド・プレミアリーグのチェルシー F.C. です。
このランキングの中で、唯一アメリカ以外のチームです。
2022年、ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁の影響で、当時のオーナーであったロシア人実業家のアブラモビッチが売却を余儀なくされました。
チェルシーを買収したコンソーシアムのうちの一人、トッド・ベーリーは10位のロサンゼルス・ドジャーズの共同オーナーでもあります。
他にも、英マンチェスター・ユナイテッドやリバプールも売却の噂が出ており、成立すれば1位のワシントン・コマンダーズと同程度の金額となると考えられています。
最も価値が高いとされているのはアメリカンフットボール NFL のチームですので、ダラス・カウボーイズやロサンゼルス・ラムズなどは、もっと高くなるかもしれません。
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こちらの表の上位9位までがここ6年、上位5位までがここ2年と、近年のスポーツチームの高騰が目立ちます。
それでは、なぜスポーツチームが高騰しているのでしょうか?
放映権
メディアのデジタル化により、世界中の視聴者を対象とすることが可能になりました。各リーグの主要な収益源になっています。
例えば、アメリカンフットボールの NFL は、主要テレビ局、アマゾン、ユーチューブなどと、1150億ドル(約15兆円)の長期契約を締結しています。
この辺は、日本のリーグも学ぶべきで、プロ野球のようにチーム個別に放映権を売るより、リーグとしてまとまって放映権を販売するほうが大きな収益を得られる可能性があります。
特に海外の放送局は、全チームと交渉することは大変な負担になります。
例えば、韓国の野球選手が日本のチームに所属し、韓国のテレビ局がその試合を放送しようとしても、ホームの試合は所属チームとの交渉で可能ですが、アウェイの試合は相手チームと個別に放映権を交渉しなくはなりません。
我々が大谷翔平の試合を見たくても、ホームのエンジェルスの試合しか日本では見れません、というような状態になる可能性があるわけです。
まとめて放映権を販売するほうが、特に海外に対しては有効と思われます。
下の表は2015年頃の収益を比較したものですが、この時点でメジャーリーグはすでに日本の9倍近くになっています。
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リーグからの収益配分
まとめて販売した放映権による収益などは、各チームに公平に分配されます。
NFL で唯一 財務省表を開示しているパーカーズは、収益の60%がリーグからの分配金であることがわかります。税務メリット
2004年にアメリカ連邦政府は、スポーツ団体の買収金の大部分を15年間にわたってチームの収益から控除できる税法を制定しています。
日本でも「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」という1954年の国税庁通達があります。内容は、支配下球団の欠損金補填のために親会社が支出した金額が損金になるというものです。すなわち、読売新聞が巨人の赤字補てんのためにお金を拠出した場合、それに対する税務メリットが有ることになります。名誉
そして、これが一番大きいかもしれませんが、プロスポーツチームのオーナーであるという名誉が、大金持ちの方々がオーナーを目指し、競争する理由になっている可能があります。
ワシントン・コマンダーズの買収が話題となっていますので、今回は買収額の大きいスポーツチームや、リーグの収益についてご紹介しました。