NATO加盟国
2022年5月、ロシアによるウクライナ侵攻に危機感を深めた北欧のフィンランドとスウェーデンがNATO加盟を申請しました。これに対し、エルドアン大統領はテロ組織である「クルド労働者党」を両国が支援していると非難し、加盟を認めないと表明しました。
NATO加盟はメンバー全会一致の賛成が必要で、トルコの拒否権に各国は騒然となったようです。
エルドアン大統領はその後、フィンランドについてはテロ問題で改善が図られたとして容認、正式加盟が認められたものの、スウェーデンについては、トルコ側の要求が満たされていないし、ストックホルムでイスラムの聖典コーランが燃やされる事件が発生したこともあり、加盟反対の姿勢を続けてきました。
ところが、リトアニアでNATO首脳会議が開催される前日の7月10日、スウェーデンのクリステション首相とストルテンベレグNATO事務総長との3者会談で、エルドアン大統領はスウェーデン加盟への反対を撤回しました。
エルドアン大統領がなぜこのような急な方針転換をしたのかについては、さまざまな憶測があるようです。最も妥当な理由としては、トルコのEU加盟に関する協議の再開、米国によるトルコへのF16戦闘機の供与、トルコ国民のEUビザ取得の簡易化などが挙げられています。
4月、フィンランドは欧州29カ国とカナダ、米国で構成される軍事同盟の最新の加盟国となりました。フィンランドの加盟により、NATOのロシアとの国境はおよそ2倍になっています。ロシアは「対抗措置」を取ると脅し、加盟を「ロシアの安全保障と国益の侵害」と表明しました。
戦争勃発以前から、ロシアのプーチン大統領はウクライナに関連して、欧米軍事同盟であるNATOの話題を繰り返し持ち出していました。ウクライナは現在、同条約への加盟を表明している3カ国のうちの1つで、2022年9月に正式に早期加盟を申請しています。
NATOの東方への拡大は、長い間プーチンの悩みの種だったようです。「これ以上のNATOの東方への動きは容認できない」とプーチンは2021年12月、ウクライナ侵攻が始まる2カ月前に述べています。
NATOの建国条約に盛り込まれた門戸開放政策は、ヨーロッパ各国にとってひとつの選択肢となっています。1949年に12カ国でスタートしたこの組織は、以降、特にここ20年間で東ヨーロッパやバルカン諸国から新たな加盟国を集めています。