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症例検討~妊娠中だけど風邪薬飲んでいい?~

※ 本症例は架空のものであり、実在の人物や事例との関連はない。


症例

32歳女性 妊娠20週
約2日前からのどの痛み、咳、鼻水などの風邪症状があり、妊婦検診のついでに通院中の産婦人科を受診。BT 36.5℃。下記の薬剤が処方された。

(処方)
PL配合顆粒(1g/包) 1日3回 朝昼夕食後 1回1包 5日分

PL配合顆粒って何?

 PL配合顆粒の組成を記載する。

PL配合顆粒 添付文書

  サリチルアミド:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の1種で、COX阻害による消炎・鎮痛作用をもつ。
  アセトアミノフェン解熱鎮痛作用をもつ。単独では「カロナール®」。
  無水カフェイン:コーヒーや緑茶に含まれるカフェインと同様。薬としては、眠気・倦怠感の改善や予防の目的で使用される。粉薬に混ぜるため、カフェインから水の要素を取り除いたもの。
 プロメタジンメチレンサリチル酸塩:第一世代抗ヒスタミン薬。風邪やアレルギーに対しては、鼻水、鼻づまり、のどの違和感などの緩和に用いられる。

PL配合顆粒は妊娠中は禁忌?

 PL配合顆粒の添付文書上、「禁忌」の欄に「妊婦」という言葉での記載はない。が、次のような記載がある。

PL配合顆粒 添付文書

 動脈管は、胎児に運ばれた血液を、胎児の全身に送り出す通り道の役割をしている。この管が収縮すると、母体から胎児への血液量が少なくなり、奇形や病児の原因となることがある。

(『病気がみえる Vol.10 産科 第4版』MEDIC MEDIA)
(『妊娠・授乳と薬のガイドブック』じほう)

考察

● 添付文書の禁忌の欄に妊婦の記載がないからといって、必ずしも安全とは限らない。PL配合顆粒は、妊娠中は比較的安全としている書籍や資料が多いが…。

●  添付文書にこの記載があるのは、PL配合顆粒やぺレックス®配合顆粒などCOX阻害薬が配合されているもの。ロキソプロフェンが妊娠後期は禁忌、その他の時期も注意なのも同様の理由。

● 妊娠中も使用される薬はあるが、「他の薬は妊婦に禁忌のデータがあるが、この薬はそのデータはないから」という理由で使用できるとされているものもある。医師によってデータの解釈も異なるため、医師などに相談・確認の上、指示に従うのがbetter。


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