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腹部大動脈瘤の管理
・腹部大動脈瘤は、瘤径が3cm以上のものと定義される。
・男性>女性、黒人・アジア人>白人。
・原因因子は、加齢・家族歴・喫煙歴・高コレステロール血症・高血圧など。
・瘤破裂リスクは、女性>男性 破裂による失血死が最も危険
・禁煙は瘤破裂のリスクを減らす。スタチン系・βブロッカー・降圧薬などは、心血管イベントのリスクを軽減するために使用されても、瘤増大を抑制する根拠はなく、瘤増大抑制を目的に処方されることもない。
・瘤径3.0-3.9cmなら3年に1回、4.0-4.9cmなら1年に1回、5.0cm以上なら半年に1回は超音波検査等で瘤径のフォローをするべき。
・瘤径5.5cm以上の男性、瘤径5.0cm以上の女性で治療が推奨される。
・手術は、開腹して瘤部を人工血管に置換する外科的手術と、瘤部にステントグラフトを挿入するEVARがある。低度~中等度であれば開腹手術を検討できる。外科的手術のリスクが高い患者では、EVARが推奨される。最終的には患者の意向とすり合わせ、医師―患者共通の意思決定が行われる。
・EVAR 1991年に初めて導入された
① 外科的手術よりも侵襲範囲が狭く経皮的に行えて、合併症や死亡リスクが低め。
② 30日死亡率は外科的手術よりも低い。2~3年は優位性が維持されるが、10年生存率は外科的手術と同程度。
③ 再介入が必要となった場合は、ほとんどの経過観察をカテーテルベースで行える。
④ 適応となるには、血管の湾曲度合・年齢・臨床的リスクなどの適切な根拠が必要。
・条件にもよるが、今では術後リスクの低いEVARをメインに推奨し、適応とならなかった場合に外科的手術を提案する施設もある。
・65歳以上では、親族もスクリーニングとして大動脈超音波検査を受けることが推奨される。
(Andres Schanzer, M.D., and Gustavo S. Oderich, M.D. Management of Abdominal Aortic Aneurysms. NENGLJ MED 2021)
考察
● AAAは、増大や破裂の前兆や自覚症状がないことが多く、健康診断や、他の疾患の検査などでたまたま見つかることがある印象。その時検査をしてまだ大丈夫だったからもう受診しなくてもよいではなく、最悪の事態(AAA破裂)につながる前に定期的・継続的なフォローが重要。
● 禁煙は、AAAの罹患や進行のリスク低減にも有用。
● 家族歴はとても重要。