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WPW症候群と心房細動の併発には…


WPW症候群って何?

 WPW症候群は、正常な刺激伝導系の他に、心房と心室をつなぐ余計な伝導経路(副伝導路)が発生する状態。心房から心室へ流れた電気信号は、副伝導路を通り心室から心房に戻ってくる。
 戻ってきた電気信号が再び房室結節を刺激して電気信号が回り続け、脈が速くなる。

WPW症候群と心房細動の併発

 WPW症候群と心房細動を併発すると、心房細動の電気信号が副伝導路を通って心室に伝わることがある。心電図上は、QRS幅が拡大し、心室頻拍のように見える(偽性心室頻拍)。

WPW症候群と心房細動を併発した時の治療

 一度でも偽性心室頻拍を認めたら、カテーテルアブレーション(RFCA)による副伝導路の遮断を検討することが多い。
 発作が少ない場合でも、RFCAまでより安全に過ごしてもらうために、外来であれば経口、入院後であれば静注で副伝導路の抑制力が強いⅠc群(フレカイニドなど)が投与されることがある。

WPW症候群と心房細動を併発した症例に使用できない薬剤

 β遮断薬・ベラパミル・ジギタリス・リドカイン・メキシレチンは、房室結節に作用し、以下の伝導を遅らせるため、心房細動が副伝導路を通り心室細動を悪化させることを助長するので使用できない
 β遮断薬・ベラパミル・ジギタリスは、レートコントロールには使用できるものの、心房細動そのものの停止効果も洞調律維持効果も期待できない。

(村川裕二(2019)『循環器治療薬ファイル 第3版』メディカルサイエンスインターナショナル)

<考察>

● 実臨床では、RFCA前の患者さんには、ピルシカイニドかフレカイニドが処方されているイメージ。
● WPW症候群でも、心房細動や心室頻拍の併発がない患者さんには、ピルシカイニドかフレカイニドに加え、ベプリジルなどのCa拮抗薬が処方されることがある。また、ベラパミルが頓服で使用されるケースも経験がある。

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