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ベーチェット病(Behçet’s disease)


ベーチェット病って何?

・1937年にトルコの皮膚科医Hulusi Behçetによって初めて報告された、再発性の多臓器疾患。
・原因は不明。遺伝的要因に環境因子が加わって引き起こされた、自己炎症と自己免疫の障害との相関があると考えられている。
・近年では20~40代の女性に多い。男性が罹患すると重症化率が高い。
・日本では指定難病56

症状

主症状は4つ
① アフタ性口内炎 ほぼ必発、繰り返す
② 外陰部潰瘍
③ 皮膚症状(下腿伸側・前腕:結節性紅斑様皮疹
      顔・頸・胸部:ざ瘡(ニキビ)様皮疹
      など) ほぼ必発
④ 眼症状(虹彩毛様体炎(眼痛、充血、羞明、霧視)、網膜絡膜炎(視力低下)) 繰り返すと失明することもある。

その他、動脈瘤、非対称の関節炎、腹痛、下痢、下血、髄膜炎、脳幹脳炎、睾丸痛などを呈する型もある。

治療

・疾患活動性は経過に伴い低くなり、予後は健常者と同程度。
・口内炎・外陰部潰瘍を含む粘膜病変には、含嗽剤や軟膏剤の副腎皮質ステロイド、重症例ではthalidomide 100mg/day が使われることがある。
血管性静脈炎ならaspirin 325mg/day
関節炎ならcolchicine
ブドウ膜炎全身症状があれば、副腎皮質ステロイドの全身投与と、azatioprine 2~3mg/kg/day
視力予後が不良なブドウ膜炎にはcyclosporine 5mg/kg 単独 or azatioprineとの併用
初期の肺動脈瘤・末消動脈瘤にはcyclosporineパルス療法
TNF阻害薬(infliximab・adalimumab)は、副腎皮質ステロイドやazatioprineやmethotrexateに抵抗性の汎ブドウ膜炎に推奨。2/3以上で視力改善のデータがある。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/187
(「ハリソン内科学 第5版」メディカルサイエンスインターナショナル)

<考察>

● 完治はしないが、予後は悪くなく寛解状態はあるので、根気よく症状と向き合うことが大事。
● 「繰り返す口内炎」「思春期を大幅に過ぎても治癒しないニキビ」「倦怠感」などの症状が複数あれば疑うべき?

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