ワカモノ2020
Cift渋谷の拠点である渋谷キャストは、13~16階がレジデンスフロア。15~16階は普通の賃貸マンションで、14階はサービスアパートメント。13階がCiftメンバーが住むフロアとなっています。
13階には広々としたBaseCommonと呼ばれるリビングルームとコワーキングスペース、MTGブース、トレーニングルームと、あと大きなキッチンとダイニングテーブルもあります。Base CommonはCiftメンバー専有ではなく、14~16階の住人も使える共有スペースなのですが、やはり同じ階にあるということもあり、13階住人の利用率が高いです。
そんな状況ではありますが、別の階にご両親と住む大学生で、日常的にBaseCommonを利用し、時にはCiftメンバーと一緒にご飯を食べたり、週末どこかの畑で一緒に農作業したり、大学の友達を連れて来て紹介してくれたりする男子がいます。R君としましょう。
BaseCommonのテーブルは広く、たとえ密になりたくても、少なくとも向かいの人とは180センチ以上離れてしまうという、都のレインボーステッカー仕様なのが素晴らしいです。私が引っ越した頃は、建物の管理側からの「集うの禁止」圧が非常に強く、BaseCommonには本当に不安になるくらい人がいなくて、「これでコミュニティと言えるのか」と愕然としたものですが、最近は少しずつ利用者が戻ってきている印象です。コロナウィルスとは関係なく、あまりに暑いので、外出はしたくないけれど24時間自室にいるのも嫌だ、と手近な共有スペースに来ているだけかもしれません。
今日もR君は(大学が夏休みなので)昼間からBaseCommonでPC作業中。午後になると、顔見知りのCiftメンバーも来て、それぞれお仕事しつつ、時々休憩がてらおしゃべりも。こういう時、R君は控えめながらも絶妙な間合いで質問やコメントをしてきます。Cift自体がクリエイターによる社会実験という存在なので、面白いことをしていない人はほぼいなくて、大学生にとっては、それはそれは話の聞き甲斐があるだろうなとは思うのですが、彼のように素直に質問し、自分の意見も述べつつ、もらった情報をすぐ検索し、後日フィードバックも忘れない仕上がり方は、おそらく学生の多数派でない気もします。
興味を持って聞いてみたところ、やはりご両親の教育方針なんだなあという結論に達しました。R君とご両親はCiftメンバーではないけれど、渋谷のど真ん中の共有スペースがあるレジデンスにあえて家族で住んでいること自体が、主体的に物事を判断できる人たちであることの一定のバロメーターになると思うし、実際にご両親はR君がCiftメンバーと交流を持つことをむしろ推奨しているそう。若者にとっては、こんなに様々な人たちと日々交流し、語り合える場って貴重だものね。とはいえ、「安定」とか「大手企業に新卒入社」とか当たり前に勧める人はここには皆無なので、世の親御さんの中には、我が子の明るい未来のために、こういう大人とはあまりかかわらせたくないと思う人も、少なからずいることでしょう。
我が家の娘たちやその友達を見ていても、Ciftの若いメンバーたちと話していても、若い世代の価値観の変化は報道されている以上に力強く、確実に広がっているのだと実感します。このコロナ禍で、さらにその流れは加速し、旧世代の価値観を刷り込まれ疑問を抱かない若者集団との間に分断が生じているのも、また事実だと思います。
R君の大学にも、いわゆる「大手企業に就職」を目指す子もいれば、すでに起業していたり、柔らかな発想力でSNSなどで発信している子たちもいて、それは私たちの世代でもいろんなことをしている子たちはもちろんいたけれど、違うのは昔よりずっと多くの若者が、自分の前にはたくさんの選択肢があることに就職前に気が付いているという点なのかも。そして、子供を囲い込まないで、一緒に未来にわくわくできる親の存在も大事。今の、これからの世界に順応できる親力を育むプログラムみたいなの、誰かつくったら良いかも。