三上杯振り返り〜仲間と共に高く飛べ〜
大会後はさまざまな思いや疲れで日常に戻るのが困難なのだが、noteを書くとそこでリセットできて復帰が早いことに気づいた。今回も振り返ってみる。
新春大会(三上杯)は高段者、低段者、級位者の3クラスに分かれる関東唯一の大会。京都クラス別と同じく、私はこの雰囲気が大好きでとても楽しみにしていた。初めて参加した2年前は、自分がドキドキハラハラ対局してる隣で憧れの高段者の先生や目標にしてる低段クラスの人達が対局していることにとても感動した。今は級位者の人が一生懸命戦ってる姿に刺激をもらっている。級位者クラスは普段それほど見かけない方も参加するので、頑張ってる姿を見るだけでも新鮮で嬉しいのだ。
クラスが違うのでライバルではなく、純粋に応援しあえるのもいい。私は日向坂46のTシャツを勝負服として着てきた七盤のポラリスさんと、対局前に円陣を組んだ。アイドルがLive前に組む円陣は一度やってみたかったのだ。クラスが違うからこそできた。
空まで届け ぽかぽかキュン 1人じゃない 仲間と共に高く飛べ 日向坂46 ひ
今回は重い棋戦、珠王戦から1週間を置いての対局で準備はしないで2つだけテーマを持って臨んだ。一つは睡眠を強化すること。新珠王の中山八段を真似て、大阪から戻った翌日からアイマスクを導入した。寝つきが悪くてついついスマホを見てしまう私にとって、強制シャットダウンできるとても良いものだった。通常珠王戦のような大会後は1週間ぐらい疲労困憊が続いてたが、今回は回復が早かった。
もう一つは「第一感の手に委ねよう」。珠王戦では迷った末に選んだ手が芳しくないことが多かった。また中山には「五目クエストで打ってる時はもっとイケイケなのに縮こまってた」と言われた。三上杯は成績を残さなくては次に繋がらない大会ではない。失敗を恐れず第一感を試すのに絶好の場だ。
持ち時間も25分と珠王戦の半分になるので、なるべく省エネしようとあまり考えずに決断した。珠王戦はプレッシャーでメンタルも追い詰められてたので、久しぶりに伸び伸び打ちたかった。体感的には5割ぐらい増しで伸び伸び打てたと思う。完全には第一感を選べず、やはり外した時に敗着があったり、名人からこの手はどうなの?と言われたりしたので、テーマに殉じる勇気がなかったのは悔やまれた。
次は4月の新鋭戦で、これも成績はそれほど気にしなくて良いので、次こそテーマを徹底したい。そのために早打ちで感覚を磨くことを日常の課題にする。
1R 石谷九段戦
6,8と第一感で打った手は定石通りだったようだ。10は三引きから組むのが第一感だったが、勇気がなく自重し、難局となってしまった。最後は左辺を先手でおさめて右辺を受け潰す方針だったが、受け間違えで図から四追い詰めが発生した。私は去年の珠王戦で中山八段に四四禁を逃している。それをずっと引きずってたが、今回は拾い勝ちではあるが、珍しく発見できたので少し壁を破った気分だ。
2R 中村名人戦
珠王戦では成績が振るわず、一度も上位者と当たれなかった。今回は中村名人、岡部九段に当たれたので自分を褒めたい笑。また石谷九段に勝てばこのクラスと当たるチャンスが生まれることもわかり、石谷さんは棋風的にも星的にも一つの目標だと再認識した。
中村名人との対局は序盤予習通りに進んだので勝負形になった。打ちやすさを感じられて内心動揺もあった。31は自分なりに打ちたかった手で、今回一番自分らしい手だったと思う。ただ中山にはこの手が消極的、優勢なのだからもっとはっきり攻めたかったと言われた。
中村名人に徐々にポイントを稼がれ、途中から満局提案を繰り返した。名人は「ハイハイ、しませんけどね」と冷酷に打ち続けた。最後の右辺の処理を77で誤り、残念にも落とした。名人は「こうやって半星掠め取らないとね。レーティング戦だから」という内容のことを(優しく)言ってたが、私はこれほどの人でも0.5勝欲しいのかと局後は苦笑した。しかし、それが連珠だ。私も同じことをするだろう。名人の辛い一面、満局を断り勝ちを探し続けるあの迫力を目の前で見られたのは、得難い経験だった。
今回の級位者の部は最近では類を見ない激戦で、10時から始まった大会が終わったのが19時を過ぎだったそうだ。常連の人だけでなく、五目クエストで連珠を知りリアル対局初挑戦の人もいた。私が優勝した2年前はこれほどの層の厚さはなく、みんな私が初段になった頃より遥かに強いと思う。ただ層の薄かった頃運良く取れたけど、その後初段の名に恥じないよう頑張ってきたつもりだ。
中村名人から三段の免状を頂いたが、私の体感としてはやっと二段を名乗れるぐらいには初段から成長できたかな、という気分だ。名人に「今わたしに足りないものは何ですか?どうやったら強くなれますか?」と聞いたら「その情熱を持ち続ければ、自然と強くなれるでしょう」と言われた。今回2勝3敗で悔いが残る負けが多かったが、良いところもあったので腐らず情熱を持ち続けたい。なぜなら一手一手自由に紡ぎ出すことができ、対局に没頭できる連珠の時間は私にとってかけがえのない幸せな時間だと今回改めてわかったからだ。
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