バックギャモン王位戦で全敗してきた
バックギャモンの国内イベントは年に2回大きなものがあり、そのうちの一つ「王位戦」に参加してきた。これまでは初級戦しか出たことがなく、ダブリングキューブを使いポイントマッチで争う中級戦に初挑戦した。
秋の王位戦とGWのバックギャモンフェスティバルは他のイベントと重なりがちでなかなか参加できない。周りからもう中級出られますよ!と言われるようになり、今回は是非とも参加したかった。自分がどのくらい戦えるのか力を試したかったのだ。
結果は4戦全敗。スイス式だったので負け負け同士で当たってた筈で、見事に最下位を取った。
連珠の大会はほとんど格上の人しかいないので、毎回1勝をあげることをかなり意識してる。大会で全敗をくらったのは久しく記憶になく、局後は目眩がした。
とはいえ、ギャモンはさほど努力しているわけではない。実戦とたまに動画を見るぐらいだ。一般の人よりは触れてるかもしれないけど、強くなる為の努力はしてなかった。足りない部分が要所要所で足を引っ張ったのが自分でもわかり、納得の負けだった。「自分なりに頑張ってきて、全く力が及ばないことを知った」「勝ちたいという目標があったのなら(目眩がするくらいなら)それに向けてやるべきことをすればよかったのに、しないのに理想だけ高まっていた」「自分がちっぽけで世界から取り残されるような気持ちになった」などなど色んな感情が押し寄せて、ああ、こうだった!と忘れてた気持ちを思い出せた。
中でも強烈だったのは、わたしが目眩をおこしてなかなか平常心に戻れない合間にも、周囲の人が終わったばかりの対局を皆んなで検討しあってたり、解析結果を入力していたことだ。わたしはその熱い輪に加われず余計取り残された気持ちになった。これは既視感があって、古くは大学時代、夜遅くまで研究室の灯りがついていて、平凡な時間に帰宅して夕飯を作る生活がよかった私はついていけなかった。将棋の現場でも、序盤から突き詰めて考えることについていけないと感じたことが多かった。
今回決勝に出た対馬さんも対局の合間に解析と睨めっこしていた。皆んな好きだなぁ〜!この好きさ加減を見てしまうと、自分はこの結果でもしょうがないよね、という気にもなる。そしてハタと気づく。そういえば、わたしは連珠の対局では終わるや否や棋譜を入力して中山珠王に送り、その日のうちに意見を聞いていた。大会が終わったら早く中山と話したくて、いつも早く帰っている(笑)。勝った棋譜も負けた棋譜も等しく意見を聞くのが好きだった。もはや勝敗より中山に棋譜を見てもらい、色んな考え方を話し合うことこそが対局の目的になっていた。それを思うと、私は連珠だけは局面にとても好奇心があるのだと思う。もしかしたら突き詰めて考えるのが好きなものにやっと出会えたのかもしれない。それはたまたまかもしれないし、中山が好奇心を引っ張りあげて温めてくれてるからかもしれない。
「ぴえちゃんの何がギャモンに駆り立ててるの?」と中山に聞かれた。最善は何か?考えるのが好きだ。対局の場という制約がある中で最善のパフォーマンスを追求するのが面白いし、尊いと思う。ただ対局以外の場で局面を考えてないので、まだまだ勝負事として好きなのかもしれない。駆け引きや人間性が反映されるし、逆転のドラマがある。そういうのが好きなのかも。
今回中級やサイドイベントで色んな方と対局できて楽しかった。とりわけいつも動画配信を見て勉強させてもらってる憧れのいぺさんと対局できたのは嬉しかった。わたしが落ち込んでたときに色んな強豪の方が声をかけてくださったのもありがたかった。ギャモンをやることで新しい方と知り合えたり、勝負との向き合い方(連珠とは違う向き合い方)から内面を知ることができる。とても良い経験だ。また機会があったら大会に挑戦したい。
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