木口が主役のスツール
スツールが好きだ。家具というと重厚で、一度手にしたらなかなか手放せない重苦しいもの、というイメージがあるけど、スツールは存在自体が軽い。椅子としてはもちろん、机にしてもいいし収納にしてもいいし、別に何もしなくてもいい。居場所だってどこだっていい。目的があるのかないのか。そんなとらえどころがないところが好きだ。
このところishitani furnitureの動画を見るようになり、急激に家具製作、木工に興味が移行している。とはいってもキャビネットとかは自分の生活とあまりリンクしないし、キャビネットはキャビネットらしさが求められるような気がしてなかなか作るのに踏み切れない。スツールは、スツールらしさを要求されたりしない。自由だ。まるで、何歳になってもふらふらとして地に足がつかない自分のようだ。自分のふわふわとした生活にも一番しっくり来る。だから、スツールをまず作ろうと思う。
材料
このスツールは端材で作った。脚は松で、ホームセンターの端材コーナーに47cmが4本まるっと売っていた。幕板は杉で、いつ買ったか忘れるほど昔の端材。
そして天板のヒノキは、近所の富岡八幡宮での縁日で見つけた。
最近ワトコオイルでウェット研磨することにハマっていて、このヒノキもオイルフィニッシュによりつやつやすべすべになった。45mmという分厚さから、存在感がすごい。面取りだけして何も形を変えずこの存在感のまま使うことにした。
木口だって見せてあげたい
ある時たまたま見ていた動画で、木工の先生が「木口は隠して組み立てます。木口を見せるのは恥ずかしいという感覚」と話していてびっくりした。作っている途中のヒノキの座面の木口、そのあまりにも立派な木目、生命の息吹に日々うっとりして過ごしていたからだ。スツールの脚をつける向きを迷っていたが、この言葉を聞いてあえて木口を正面にしようと思った。美しいか、美しくないか、は社会や歴史の中の常識で決められたりするものじゃないと思った。みんなこうだからこうするのが美しい、というのは、目的から自由であるスツールには相応しくないと思った。私はB級品と言われる木の節だって好きだし、木口も好き。柾目も板目もどっちも違う味わいがあって好き。好きな木目が木裏でがっかりしたこともある。DIYだしなおさら自由に作りたかった。
がんばったこと
脚の加工(9度に角度つけたり斜めに切ったり)や初めての幕板貼り。カットの精度が足りなくて、幕板は綺麗に仕上がらなかった。でも強度は十分。以前作った踏み台が壊れた経験から、今回は強度が最重要と思い、足掛けもつけた。全体のデザインと合ってないような気がしてちょっと後悔してるけど。
反省点
脚の長さ47cmは高かった。足がつかないので足掛けを作ることになった。もっとスッキリさせたかったなあ。
カットの精度が仕上がりの全てにかかってくるから、ちゃんと丸ノコ定規作ってやろうと思う。これまではフリーハンドだったんかい!
ダボ埋めのビス隠し飽きた。あんまり美しくない気がするし。真鍮のビス使って見せてみようかな。ビス以外の組みかたが出来るようにもなりたい。
この端材、もっと買えばよかった。また縁日に来てくれないかなああのおじさん。