アズイフの法則〜演技に於ける「行動」→「感情」のメカニズム〜

演技において、演者の身体と内面というものは密接に関係しています。

行動と感情の因果関係について、常識では
・幸せを感じる→笑う
・恐いと感じる→逃げる

というようなことになります。

アズイフの法則では
・笑う→幸せを感じる
・逃げる→恐怖を感じる

となります。

そして、近年の科学の研究では「自分の行動によって感情をコントロール出来る」というメタ分析とエビデンスがあります。

側頭葉内側に位置する「扁桃体」という部分が感情体験(特に恐怖)に影響しています。

被験者に恐怖の表情を作ってみた(行動)時、扁桃体が活発に活動しているという結果です。

つまり、感情を発生させるような刺激は自分の行動でも出来るということ。

ただ、注意して欲しいのは演技の基礎を身につけた役者でないと使えないし、演技の土台がないと嘘っぽくなります。演技の場合は。

実験では恐怖という感情を使っていますが、この事は喜怒哀楽どの感情も基本的には同じです。

感情はど返しして、とにかく笑ってみる。
笑顔を作る。意識的に表情筋を上げ、口を横に開く。その結果内面が動くという事です。

というように身体を使うことにより内面が動くということです。

この効果は野口体操における「体癖」やラバン・エクササイズと同じような効果だと思います。

演劇の場合、与えられた状況が私達の日常生活では経験していない事が多々あります。

そのために様々な方法を使い役者は役にアプローチしていき、役に自分自身を近付けます。

多くの場合、台本や役があり、役者はそこから人物を想像したり分析する場合がほとんどです。

物語や状況、言葉から役を想像する(思考)作業です。

このようなアプローチが定石ではありますが、左脳タイプの役者や客観性が強いタイプは役の分析した思考がロックされてしまい、頭で考えたことに役を近づけてしまいます。

大事なのは「いま、この瞬間」に起きた出来事に反応していくことなので、この思考ロックが入ると非常にもったいないのです。

左脳で演技をしないためにも、何も考えず、ただ(身体的)行動に身を任せ、思考を手放し、内側に湧いてきたものに反応していく事が必要になります。

ちなみに、行動→感情の流れは日常生活でも役に立ちます。

何かネガティブな感情が生まれたとしても、その感情を忘れるような別のものに意識を向け、何も考えずに自分が幸せだと感じる行動をすればいいのです。

「なにかの美点を身につけたいときは、すでに備わっているかのように行動すればよい。」/ウィリアム・ジェームズ

参考:「その科学があなたを変える」/リチャード・ワイズマン博士

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