強力なファシリティ、カリキュラム【訪問:山梨学院小学校】
甲府の山梨学院小学校を見学しました。
スポーツフェスティバルでプロジェクト学習
この日はプロジェクト学習公開日にも設定されていました。
山梨学院小学校ではスポーツフェスティバルに向けた活動をプロジェクト学習と位置付けて進めています。
スポーツフェスティバル前は、2週間程度、通常の教科(領域と呼ぶ)の授業を一旦停止し、プロジェクトに全振りするという徹底ぶりです。
標準時数は授業日数や時数を増加させることで確保しているというあたりは私立の強みを活かしている印象です。
スポーツフェスティバルではテーマから派生した競技や演出を行います。
今年のテーマは「古代中国」、昨年は「宇宙」
かなり壮大な映像作品も流されたようです。
プロジェクトは異学年で組んだ係で分業して進め、企画、準備、運営を行なっていきます。
係には競技のほか、演出、美術、用具、表現、学習、進行アナウンスなど一般の運動会・体育祭では見慣れないものも存在します。
一人一人はあくまで希望した係に就く仕組みで、係の人数の偏りが出るし、年によってその傾向は異なります。
この日に見学した場面としては
・「競技」テーマに即した競技を考え、上級生が下級生にルール、組分け、戦術などを伝えて練習をする
・「美術」10m以上にもなりそうな大掛かりな絵を作る
・「学習」古代中国について調べ上げ仲間の児童に伝えるためのプレゼンを作り、下級生にはクイズの形で伝える
・「表現」フラッグを使用したオリジナルのダンスを考え、練習する
・「演出」テーマに即したオープニングの映像を動画編集ソフトで作る
・「進行」アナウンスはTV局のアナウンサーから読み方のレクチャーを受ける
どれもこれまでの小学生で見たことのない本気度です。そしてどの場面でも大人が率先して声を出していません。
あまりにクオリティが高いので「本当は先生たちがやっているのでは」という声が上がったこともあり、プロジェクトを進めている期間を公開日にしたそうです。
スポーツフェスティバルのテーマは学年によってはその後の学習にも反映していくこともあるそう。
このプロジェクトは子どもに投げてしまうのではなく、大人も緻密なスケジュールで動いており、それを確立するまでに数年かかったそうです。
だから、見た目で真似をしても本質的なことは真似が難しいだろうという言葉がありました。
IB認定校
学校としてはIB(国際バカロレア)PYP認定校となっており、校内各所にも国際バカロレアの目指す人物像があちこちに掲載されていました。
教育観
質疑応答では、印象的な言葉をいくつもお聞きしました。
・子どもはでこぼこだからでこぼこのまま育てばいいと思っている。
・一人一人が専門家になって卒業していく。
・職員の採用は教育観に共感した人。
・チームワーク、思い、熱量
また、最も強く印象に残ったのは、「指導」や「支援」という言葉が使われなかったことです。
これだけの時間案内、説明をしていただいたのに、です。
「教育」における主語を明確にスタッフで共有している証左なのでしょう。
そして、これだけの教育実践をしておきながら、かなり職員の超過勤務時間は少ないということでした。
曰く、「子どもたちとやる」と考えれば、もっと短い時間でできる。
校舎など
以下、ファシリティも凄まじかったので紹介。