教育理念の共有と実践【南アルプス子どもの村小学校・中学校】
南アルプス子どもの村を訪れました。
これまでに見学した勝山、北九州の子どもの村学園は廃校を利用した校舎が基本になっていましたが、南アルプスは独自に建設した校舎で、木材も多く用いられたアットホームな雰囲気に感じました。
映画「夢みる小学校」で登場したスタッフの方の姿もあり、ここが舞台に撮影が進んだことが伺えます。
校舎の中には手作りの木製家具が数多く並びます。
椅子、テーブル、ウッドデッキ、ブランコ等等。
便利にしすぎないことで、考えてつくるという姿勢が養われます。
低学年のうちから木工に勤しんでいた子どもは中学生くらいになると大人よりもつくることができるようになると言います。
小中学校ともに、いくつかのプロジェクト別にクラスが形成されており、異学年の集団で学びを進めます。
プロジェクトは子どもの数に応じて予算が充てられていて、それで不足するようなら学校から借りるという形で工面します。
その返済の方法を考えるミーティングも必要に応じて行います。
プロジェクト
ファーム
この日は金曜日。
午後は翌週の予定を立てるミーティングが行われます。
ファームのクラスのプロジェクトの時間を見学しました。
翌週にミニパーティをやるかどうかを議論しています。
A「まずは来週ミニパーティをやるかを決めたらどう?」
B「ミニパーティをやるなら、柵ができるかを確認してからにしたほうがいいと思う」
C「柵は、人がいたらできそうだと思う。」
D「今、柵のはなしになってしまったけど、まずパーティやるか決めたら。パーティの話がいつの間にか柵の話になってしまったから。」
B「パーティはやれるならやりたいと思う。でも柵ができないなら、パーティよりもまず先にそれを進めたほうがいいと思う。」
大人も子どもも対等に意見を出し合って話を進めています。
もちろん発言の寡多はありますが、全員が対等に話し合いをできる場や、要領を得なくても間違っても否定されない場、その経験を重ねる場があるということが強みだなと感じました。
クラフトセンター
クラフトセンターでは借り上げた古民家を題材に扱っています。
これまでは風呂場の改修などを行い、今年度は「住めるようにする」ことをテーマにプロジェクト学習を進めていると言います。
その過程で触れる、囲炉裏、土間、塗り壁、布団などから様々な学習に派生していきます。
きのくにではプロジェクトの学習をもとに基礎の学習を進めることもあり、ここからは大人の腕の見せ所です。
教育観
きのくに子どもの村学園では多くの職員が学校の理念を共有しており、そのための研修制度も充実しているといいます。
特に、「感情、知性、人間関係の自由」とそれに基づいた原則を共通理解・実践しているのだと感じることがあります。
この教育観の精査や擦り合わせのような営みが絶えず行われている職員集団こそが、この学園の魅力なのではないかと感じます。
その証として、どこの学園でも穏やかで歓待されるような雰囲気を感じました。