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034_高齢者の転職市場
コロナは減少傾向にありますが、出口が見えたわけではありません。新たな変異株の出現で、あっという間に規制の嵐になったのを体験しましたので、まだ手探り状態ですね。
ただ、その中で粛々と見直されてきたものがあります。高齢者の転職市場です。
高齢者と言っても数種類あります。年金支払い者、年金未受給者、そして年金受給者です。
ご承知の通り、年金支払いの年齢は60歳までで、それ以降は任意加入となります。そして年金受給の開始年齢は最少で65歳。年金受給はそれ以上を遅らせることができます。単純に高齢者でも「払っている人、払い終わってもらってない人、もらっている人」の3種類がいるわけです。
会社勤めで厚生年金を天引きにされている人は、あまり実感がないと思いますが実は国民年金の支払額は高いです。もちろん、支払う事によって所得税の減税がありますが、それでもです。
仮に1万7千円弱であっても夫婦で月額約3万4千円。一括納付での減額は微々たるものです。中流以上ではまあまあでしょうが、中流以下の世帯ですと結構な額です。これがあるのとないのとでは家計が大きく異なります。
さて転職市場に話を戻すと、上記のカテゴリーに対してリタイヤ・非リタイヤ、住宅ローン有・完済のカテゴリーでまた細分すると、希望する収入の幅がかなり広がります。単純に言えば、月収10万円以下でOKという人は多くいると思います。
もちろん高齢者ですからハードな仕事はできません。しかし仮に肉体的にハードであっても、常勤でなければ勤まるなど、選択肢はあります。モチベーションにしても、家計がかかっていないのであればどれだけシリアスにできるのか、という懸念が出てきますが、社会経験があれば職種や役割に対して良識的な捉え方ができるはずです。
男性に関して言えば、70歳代前半まで何らかの形で働いているケースが実は多いのです。仮に65歳で転職しても、そこから10年の就業を見込めるわけです。短期間でさっさと転職してしまう若い世代とどちらがいいか、という判断も出てきます。
コロナのせいで外国人労働者に制限がかかり、外食や観光やサービス業など、コロナによってあぶれてしまった転職を妨げない、そして人件費などの問題が解消しにくい職種などに高齢者の転職市場が造成されつつあります。
ただ、この状態はあまり喧伝されていません。
それもそのはず。このコロナ禍にあって多くの40代、50代の現役の古参社員がリストラされました。その中に多くが住宅ローンや子どもの学費を抱えていて、上記のようなお気楽なリタイヤ族に比べて数段の深刻な状態にあります。話題性の面で見ても、社会や政治が対処しなければいけないのは圧倒的にこちらの方なわけです。
しかも、そうした古参社員は得てして転職市場全体から見て魅力的な人材ではありません。そのマッチングに対する労力が、転職エージェントにとっても大きな問題になっています。
私自体はリストラ経験があるリタイヤ族ですから、どちらの立場も理解できます。しかし、親の失職が原因で大学などの進学をあきらめるケースが社会問題になっている事もあり、若年層の救済も兼ねている意味では、のほほんとしたリタイヤ族(実際はそうでもない)の話題は後回しにしたいでしょうね。