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「I was here. in Tokyo」 直希
皆さんこんにちは、PICTEの中の人、柚子胡椒です。(ouka_5cm)
今回は今年の10月に個展「I was here. in Tokyo」を開催された直希さんのインタビューをお送りします。
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「あなたにとって写真を撮る事とは?」
「自分にとっての写真は記憶蘇生装置としての媒体、写真本来の用途である過去を残す事を、大切にしていきたい。残しておきたいからこそ写真を撮る。」
記憶蘇生装置、私はこのワードに強く惹かれた。確かに写真本来の用途は「残す」事である。事実、紙に印刷された写真は100年先も残る事が実験で証明されている。
思えば、小さいころに実家にあったアルバム、数々の思い出の写真、データではなく紙で見ることで、当時の記憶がより鮮明に感じられたような気がする。
彼は自分が関わってきた人、土地、時間、その全てを写真で残す事により、色褪せ無い思い出としているのだと感じた。
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「実際に展示してみてどうだった?」
「正直、個展の準備期間がとてもたのしかった。その地域で過ごした時間や、どんな人と関わったというんを文章や写真に落とし込んでいく時間がとてもたのしかった。」
彼の開催する地域密着型写真展は少し特殊で、彼自身が実際に開催場所で数ヶ月過ごし、そこで培った経験、体験をもとに作られる。
言葉にするのは簡単だが、実際にその準備は計り知れないものがある。知らない土地、知らない環境で何かを残すために何かを経験する。思い付きで容易にできることでは無い。
実際に第一回の愛媛の開催ではウーバーイーツと大盛りの定食で日々を食い繋ぎながら個展の準備をしたそうだ。
彼はこう言う「個展はフォロワーが多い人や、自分の世界観を持っている人しか開催できないと思っていた。そこを壊して何か新しい面白いことをしたいという思いで開催に踏み切った。」と。
彼の根幹にある「記憶蘇生装置」と「新しい写真展の形」が融合したのが地域密着型写真展なのだと思う。
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「個展をしたり、PICTEの企画に参加したりして、自分の考え方に何か変化はあった?」
「こんなに良い写真を撮る人がいたとは! インスタと有名な写真家の写真しか見てこなかったから写真の世界が広がった。」
「多くの人に支持される写真」と「自分の好きな写真」が必ずしも同じとは限らない。100人の人間がいれば100通り以上の写真が生まれるし、その中から自分の好きな写真がみつかるかもわからない。
便利な時代になった反面、私たちの「好き」はいつしか画面や他人の評価の数で判断するものになっていたのかもしれない。実際に撮った人に会い、込めた思いを聞く、それができるのは写真展という場の特権ではないかと思う。
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「写真展を開催した経験のある君からみて、PICTEってどんなイメージ?」
「出展者を募集しますというのはPICTEだけだった。ただ参加するだけでなく、場作りとしての価値がある。」
PICTEの特徴は出展者を一から募集する事である。様々な人に写真を展示することを気軽に楽しんで欲しいという思いからこの形になっている。
貴方の写真をもっと多くの方に「生で」見てもらうまたとない機会になると思う。
実際に顔を合わせて参加者が集まることから、出展者同士の交流やコミュニティ形成につながる事がとても多い。ただ展示するだけでなく、写真仲間を増やしもっと写真が楽しくなる。そんな場所がPICTEである。
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「今後どんな展示がしてみたい?」
「地域密着型写真展を全国で開催したい。」
「自分の今後の人生と一緒に考えながら、順調に進むかはわからないがやってみたい。」
彼の夢は地域密着型写真展を47都道府県すべてで開催する事である。
全国開催を終えた時、彼は一体どんな写真を自分の人生に残すのか、彼の今後の活動に期待である。
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直希
1997年、 岐阜県生まれ。
2020年11月、個展「生活する記憶」を開催。
2022年10月、個展「I was here.」を開催。
Instagram、各種展示、PICTEプランナーなどで活躍中。
Instagram:yorimichi_nozomi