コラムvol.1 Peaches En Regalia/Frank Zappa もしくは"ベーステ"について。
ベースメント・テープス略して"ベーステ"は、僕がメインで担当させて頂いた初めてのラジオ番組です。
この2年半で番組内容は当初から結構変わりましたが、思いは変わらず「リスナーに流行りの音楽と少し違うものを食べて貰おう」そんな気持ちでやっています。好きなものは、放っておいても食べるだろうし(笑)
忙しい毎日の中"音楽を探す"趣味のひとでも無ければ"いつもと違う音楽"に出逢うキッカケはなかなか無いんじゃないか。だから『FMおとくに』に縁をもって、聴いて下さっている皆さんが「そういや最近聴いてなかった、懐かしい。やっぱいいなー。」「これは知らない曲だが、いいな。覚えておくか。」そんな風にフト感じてくれたらいいな、と思っています。
ラジオというメディアは気楽なものです。作業のお供に、ほとんど聞かずに聴き流してもいい。気になりだしたら、注目して聴いてみてもいい。空気の様なメディアだからこそ、いい空気を作れるようにしたいし、知らず知らずに、豊かな気持ちになって貰えるのが、理想ですね。
さて・・今回のタイトルに選んだ『Peaches En Regalia/Frank Zappa 』は、ベーステ放送開始からOPテーマに使用させて頂いていた曲になります。
僕は昔から「単独行動」に冒険にも似た、ハードボイルドな・・硝煙の匂いを感じて溜め息をつく(のが好きな)孤高の厨二戦士でしたから、高校時代の年越しは、家から自転車で20分ほど離れたリサイクルショップ、今は無き『開放倉庫久世橋店』で中古CDを眺めながら過ごすのが通例でした。
・・棚と棚の幅がね、狭かったんですよ。
だから「誰に追われる身でも無いのに、棚に身を隠して、目を瞑って刹那の安息を得る」のが好きな高校生には好かれちゃうショップでしたね。暗い店内に間接照明でフィギュア照らしてあってね。ヴィレヴァンみたいに楽しいキャプションしてあってね。好きだったなぁ。ほんとに、店舗様に於かれましては、いつぞやは長居して、大変ご迷惑をお掛けしましたとしか・・。
いま思えば、異常にフランク・ザッパ御大の品揃えが良いショップでした。CDのみならず、大ザッパ論も複数冊あったし。
どこか奇妙なもの、水木しげるさんとかが好きだった僕は、ビートルズを聴く前に、ローリング・ストーンズを聴く前に、ゆらゆら帝国を聴く前に、大量のフランク・ザッパCDを毎日眺めている内に、興味本位で一枚、また一枚と購入して聴いている内に、魅入られていました。
いい素材なのに、出鱈目に闇鍋に放り込んでやったみたいな。でもそれが全て計算通りだからライブでも完璧に再現できるよみたいな。ほんで完璧すぎるから涙が出てきちゃうみたいな。。まあ、肌にあったんでしょう。
高校時代は、バイトしてなかったし、とにかくお金が無かったので、おばあちゃんに上手いこと言って何枚か購入した中で、今でも大好きな一枚がこの『Hot Ruts』なんです。美しくも、刺激的なごった煮。ザッパは声も素晴らしいのですが、このアルバムは、ほぼインスト。サイケでいて、ジャストタイムなザッパのギターが気持ちいい。
「僕がもし(ありえない事だけど)ラジオ番組をするようになったら、一曲目の『Peaches En Regalia』をオープニングにかけよう。」
この頃から漠然と妄想していた事ですが、実現する運びとなり、僥倖というヤツです。人生とは真に不思議なもので。
番組タイトル名、ベースメント・テープスのイメージもこのジャケットからきています。面白い事は、地下に隠してちょっとずつ小出しするような。もう一つの由来は、また次回です。