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火星人襲来事件

実際に起きた大パニック騒動

1938年にアメリカで起きた火星人襲来事件というのをご存知ですか?
アメリカでラジオで流れる音楽中継
突然放送を中断して

『ただ今地球に火星人が襲撃しています。みなさん、速やかに避難して下さい!』

と速報が流れ、全米が大パニックになった事件です

ことの発端

そもそもこれはH.G.ウェルズの『宇宙戦争(The War Of The World)』というSF小説を原作としたラジオドラマでした

ではなぜこれがパニックになったのか?

演出がリアル過ぎた…

まずはドラマが実際に放送中の音楽中継を中断した臨時ニュースという形式だった

そして火星人が侵略して来た地域に当時このラジオが放送されていた実在する地名を挙げており、そのニュースにたちまち人々は遭遇したことのない恐怖に襲われたのです

もちろんラジオを聴いていなかった人もいましたよ
しかしそんな人たちもパニックになっちゃったんです

例えば日本のどこかで大地震が起きたとして、そこに自分の家族や親戚、友人が住んでいたら心配で電話したりLINEしたりする人いませんか?

この時もやっちゃったんです…

「おい!ニュース聴いたか!?」
「えっ?何のこと?」
「お前のとこに火星人が侵略して来たぞっ!無事か!?」
「えらいこっちゃあ!早く逃げんと殺されてしまう!!!」

こんな感じだったんでしょう
なんならドラマよりこっちの方がリアルかもしれないです

また当時は第2次世界大戦の直前ということもあり世界中の人たちが戦争に対する緊張感に包まれていました
そこにまさかの異星人…
「マジかよっ!?火星人ってヤベーじゃん!!どうする?どうする?とにかく逃げんとヤバい!!」

こうしてドラマは人々をあらぬ方向に動かしたのです

ラジオはフィクションであることを伝えていた

実はラジオではこの放送が作り物であることを伝えていました
しかしそれは番組開始直後と番組終了直前
番組のオープニングってけっこう聞き流してません?
本編が始まってしばらくして徐々に耳が傾くという人も少なくないかと思います
だからほとんどの人は音楽番組の途中でドラマが始まることなんて知らなかったのです

番組の終了直前のお断りなんて聴いてません
てか聴けるわけがなかった
その頃のラジオって大きくて携帯型ではありません
みんなラジオのある家を飛び出しちゃってるんだからその後のお断りなんて聴けるはずがありません

その時、警察は…

はい、大パニックです
この臨時ニュースを信じた人たちからの電話が殺到してエグいことになってたそうです
『警察24時』なら絵力弱いです
が、威力は半端ないです

当時のラジオは新しいメディアだった

当時のメディアと言えばまだまだ新聞が主流でした
なのでラジオは新聞から目の敵にされていたようです
この騒動を新聞はここぞとばかりに叩きました
『ラジオは信用できない!』
『フェイクニュースに気を付けろ!』
しかしこの騒動はラジオの発信力を確実に見せつける結果になりました
そして『火星人襲来事件』は都市伝説となったのです

余談ではありますが

僕はこの話を中学の国語の授業で習いました

伝え方のルール
大事なことは伝える順序が重要だと

『本日、○時から○時まで一部地域で断水になります。対象となる地域は○○地区、○○地区、○○地区です。』

人というのは自分が対象ではない場合、無意識に“聴く情報”から“聞こえてる情報”に切り換えるそうです
では上の情報はどうでしょうか?
自治体が伝えたいのは断水の情報ですが、対象地域が文章の後に来てますよね?
対象地域の人はそこで自分が関係してることに気付くものの、この順序ではそもそもそれが何の情報だったのか聞き逃すケースが多くなります

『○○地区、○○地区、○○地区の住民に大切なお知らせです。本日○時から○時まで、断水となります。繰り返します〜』

というように地区を先に知らせることで“自分のこと”という意識を持たせ、さらに内容を繰り返すことで聞き逃しを防ぐことが大事だそうです

さて、本題に戻ります

これって何かに似てません?

今の新しいメディアって何でしょう?

それはネットです!

ネットでは悪質なフェイクニュースが流れたり、
速さがウリなため確実な裏付けもないまま情報発信して実は誤報だったり
僕たちユーザーは善意ではあっても『早くみんなに伝えなきゃ!』って誤った情報をSNSで拡散してしまったり
…僕もやったことあります

2020年新型コロナウイルスによる日本でのトイレットペーパーを始めとする紙製品不足
これもデマの拡散によるパニックで、店からは商品がなくなり、メディアも煽って煽って煽り倒して、しまいにゃ政府までもがデマであることを伝えなきゃいけないほどの事態になりました

仕方ないにせよ後々振り返ると…恥ずいです…

より信頼性の高い情報源を探そう

ネットニュースやTVのワイドショーを嘘つきと言うつもりはないんです
見ちゃうし、たいていは信じちゃうし…

でも今回のパニックは
時と場合によっては情報を疑うことが大事だって警鐘を鳴らしたんじゃないかなと…
たかがトイレットペーパー、たかがティッシュというかもしれない
けど、僕はウォシュレット大好きですが、最後は紙でお尻拭きたいです

ネットで一般人でも物の売り買いができて、なんなら定価よりも高値で売れることを知ってしまった
大掛かりな組織ではなく、誰もが個人で人の弱みにつけ込める時代なんです

最後に

現代版『火星人襲来事件』は情報の伝え方はもちろんですが、僕たちの読み取り方をもう一度考え直すきっかけにならなければいけないと僕は思うのです

騙され損は嫌ですよね?

これからますます情報というのはたくさんある似たようなものの中から選ぶ時代になると思います
僕たちは間違いのない選択ができる準備はできてるでしょうか?

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