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ミジンコって何の生き物の仲間なの?~ミジンコ学超入門(1)~
ミジンコは学校で習う微生物の代表格で、誰しもがその存在を知っているだろう。しかし、あの生き物が何なのか、いまいちつかみきれていない人がほとんどではないだろうか。
なんかミジンコに詳しい友人がいたので、この際だからいろいろ聞いてみた。ミジンコのイメージを「なんかちっちゃいヤツ」からより詳しくアップデートさせてみよう。
こんな機会、これを逃すと他にはない!
登場人物
・藥師 功哉
ミジンコについて質問する人。一般男性。
・八田 桃子
ミジンコの質問に答える人。自宅でミジンコを飼育しているミジンコオタクの女子。
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画像提供:八田 桃子
ミジンコって何の生き物の仲間なの?
まずはこの疑問からぶつけてみよう。結局、あの生き物は何者なのか?
八田「ミジンコはカニやエビの仲間と言えますね。これらは節足動物の甲殻類という同じグループに属しているんです。」
藥師「そう言われるとだいぶ身近になるなあ。カニやエビとの共通点ってあったりする?」
八田「体が殻に包まれていることです。あと、脱皮もします。カニやエビと同じで脱皮することで成長していくんです。」
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画像提供:八田 桃子
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画像提供:八田 桃子
藥師「カニの仲間なら、もしかして食べるとおいしいのかな?」
八田「えっと……味はあんまりしませんでした。」
藥師「ちょっと待って、食べたことあるの!?」
八田「どんな味するかな?っていう興味で飼っているやつを1匹だけ。ちっちゃいので味はあんまりよくわかんなかったです。なんかゴマ?みたいな。大量に食べたら味するかもしれませんが、せっかく飼育しているのを大量に食べるわけにもいかないので。」
ヤバい。開始5分で私の想像をはるかに上回る彼女のミジンコ愛に触れてしまった気がする。しかし、ここで引き下がってはいけない。質問を続けよう。
ミジンコの大きさってどれくらい?
ちっちゃいことは知っている。でも、具体的にはどれくらいなんだろうか?
八田「代表的なミジンコであれば、大人で2mmほどになります。」
藥師「カニやエビと比べればだいぶ小さいけど、思っていたよりは大きいかも。一応、肉眼でも見られそう。」
八田「そうなんです。顕微鏡で見るイメージがあるのか、肉眼でも見えるの?ってよく聞かれます。実は、肉眼でもばっちり見えます!」
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画像提供:八田 桃子
ミジンコは学校でゾウリムシやミドリムシなどとセットで覚えた記憶がある。しかし、ゾウリムシやミドリムシは単細胞、ミジンコはカニやエビの仲間で多細胞。サイズも全く異なる生き物だ。ここでしっかりと区別して覚え直しておかねば。
ミジンコはどこに住んでいる?
私たちはどこに行ったらミジンコに会えるのだろうか?
八田「主に流れのない淡水です。具体的には、田んぼや池、湖などですね。」
藥師「田んぼにいるなら、ミジンコって身近な存在だね。」
八田「ちっちゃくて気にしていないだけで結構身近にいます。」
藥師「なるほど。じゃあ、飼っているミジンコも田んぼから捕ってきているの?」
八田「いえ、Amazonです。」
藥師「Amazon 何でも売っているな。」
↑ 八田さんがミジンコを手に入れているAmazonのページ。一気に200~300匹も手に入るのか……。
八田「まあ、田んぼで捕ってもいいんですけど、田んぼの所有者に許可とるのが怖くて。コミュニケーションとるの苦手なんで……。」
確かに、小学生ならまだしも、大人が突然「お宅の田んぼでミジンコとらせてください」って家に来たら怖がられるよな。
ミジンコは何を食べている?
ミジンコは日々何を食べて生きているのだろうか?
八田「一般的には植物プランクトンと言われています。けど漂っているものは何でも食べている感じですね。食べられないものが入ってきたときは吐き出します。」
藥師「食べてから判断するんだね……。」
八田「私が飼っているミジンコにはドライイーストを食べさせています。パンをつくるときに使うやつですね。あと、水槽に勝手に生えてくる藻も食べます。だから餌をやらずにほったらかしても実は大丈夫なんですけど、藻は栄養価低いのでドライイーストをあげています。」
↑ 八田さん家のミジンコ御用達のドライイースト。日清製粉の人も自社製品がミジンコのエサに適しているとはまさか思うまい。
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画像提供:八田 桃子
八田「ミジンコは体が透けているため食べたものの色が出るんです。植物プランクトンを食べれば緑になるし、食紅を入れると赤くなります。それがめっちゃカワイイです!」
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画像提供:八田 桃子
カワイイかどうかはさておいて、与える食べ物で自分の好きな色に染められるのはおもしろいかもしれない。
ミジンコの寿命はどれくらい?
今まで気にしたことはなかったけれど、ミジンコはどれほど生きるのだろうか?
八田「基本は1か月です。」
藥師「短っ!」
あっという間に死ぬ存在に愛着を抱き、大切に育てる彼女はスゴいと思う。
八田「環境にもよりますが、1週間で大人になって卵を持ち始めます。そこから平均して3~4日ごとに産卵と脱皮を繰り返して、最後の方は少しずつ弱っていき、最終的に4週間で死ぬ感じです。」
藥師「そんなハイペースで産卵したらどんどん増えるじゃん!」
八田「そうなんですよ。簡単に増やせます。ちなみに、夏の暑いときは産卵と脱皮のサイクルが短くなり、増えるペースは速いですが、その分短命です。逆に冬の寒いときはサイクルが長くなるので、増えるペースは遅くなり、長生きします。」
藥師「ところで、野生のミジンコはその短い天寿をまっとうできているのかな?」
八田「ミジンコは食物連鎖のピラミッドの下の方にいるので、天寿をまっとうすることは少ないと思います。例えば、メダカなどの魚や蚊の幼虫に食べられます。食べられるときは一瞬です。」
藥師「儚い命だね。」
言われてみれば、Amazonのミジンコのページには「めだかの活き餌」って書いてあったな……。彼らも食べられるために売られているのか。
ていうか八田さんは、ペットに食べさせるエサをペットにしているってこと……?
まとめ
ミジンコについて新しく分かった事
・カニやエビの仲間(ちっちゃいから1匹食べても味はしない)
・意外と肉眼で見える
・Amazonにいる(田んぼや池にもいる)
・割と何でも食べる
・すぐ死ぬ(夏はもっとすぐ死ぬ)
・いろんな捕食者に食べられるので自然界ではもっとすぐ死ぬ
今回の話を通して、ミジンコがどういう生き物か少しわかったような気がする。これから田んぼの近くを歩くときはミジンコのことを気にかけるようになるかもしれない。
ミジンコの世界をちょっと覗き見することに大きく力を貸してくれた八田さんには感謝の思いでいっぱいだ。ありがとう!これからもよろしく!
さて、次回はミジンコの一生とその生殖にスポットを当てていく。ぜひお付き合いいただきたい!
【次回はこちら】
文章 藥師 功哉
2024年4月23日 更新