彼らが私の北極星
「思春期の子どもたちが真似しても大丈夫な生き方ができているか」
この問いが私の軸になっている。
私が仕事を辞めた理由
前職の仕事上、思春期年代の子どもたちとじっくり話せる機会に恵まれてきた。
学校のこと、友人や家族とのこと、彼らが向き合う問題をテーブルの真ん中に置いて、あーでもない、こーでもないと話し合う時間が大好きだった。
大人からみたら“気にしすぎ”、“考えすぎ”で片付けることもできてしまうテーマに真剣に向き合う姿を見ていると、谷川俊太郎さんの詩『春に』の世界を今まさに生きているんだと感じられて、ひそかにキュンっとなっていた。
よく出会ったのが、学校に行きたくないという話題。
いろんな考えがあると思うけれど、自分を歪めてまで無理をして学校に行く必要はない(行かない分のフォローは必要)と私は考えていて、「私の考えだけど」と前置きしたうえでそれを伝えてきた。
そう言うたびに、私自身は今の環境で自分を歪めていないかと考えた。
大きな組織、限られた資源の中で、自分が心から納得している発言や提案ができないことは大なり小なりあって、思春期の彼らに言っていることと自分のやっていることの矛盾、その違和感はいつもあった。
そして仕事を辞めることにした。
彼らの近くにいて、彼らの日常を支えていくという働きも大切だけれど、自分の違和感から目を逸らさずに生きることも、広い意味では私が大人として彼らに提供できる働きじゃないかと思った。
ぜひ真似してみて☆とは言わないけれど、こんなふうにも生きられるよ!という一つのサンプルになれたら。
彼らが私の北極星
仕事を辞めて、“私はとんでもないことをしてしまったのではないか”と不安に襲われるときがたまにある。そんなときに先の問いを思い出して、大丈夫だし、大丈夫といえる展開にしていこうと自分に言い聞かせて勇気を出す。
北極星が夜の航海の目印であったように、まだ模索中の私の人生の方向性を示してくれるのが彼らの存在。
いつ再会しても恥ずかしくない私でいたい。