#12 やさしさをおくる
胸の中から飛び立つ白鳩の
青空に映える美しさに
淡くきらめく霧の塵屑が虹をつくる
青く輝く大気に守られ
豊かな水が流れ落ち
大木の下に這う蟻達の
描く道が世界をつくる
誰かの手から溢れた荷物
みつめる瞳は多いのに
荷物をひろう手はいくつ、
そこに落ちているのだろう
くるくると進む時計の針を
眺めゆく時間があるのなら
溢れた荷物のひとつやふたつ
拾うことも悪くない
あなたにとって
角砂糖のように軽い荷物は
誰かにとって重い鉛かも知れぬ
ふと、また落ちた荷物を取って
送り返した手のひらは
あした、誰かの荷物を送り返して
いつか、あなたの世界を変えてゆく