眠れない、食べれない、事故翌日
死ななかった日(後編)のつづきです。
HCUで眠れる人ってどんな神経してんだ?
朝がきたが、最初の夜は全く眠れなかった。
HCU(高度治療室)というのは、重症患者のベットがずらりと横並びになっている。患者の症状がすぐに解るよう常にカーテンが開いており、看護師がせわしなくバタバタと動いていて落ち着かない。
そして音。ピーピー、ピピピ、チャラン〜、ずーーーと、いろんな電子音が鳴ってる。どこでも眠れる、という人が心底羨ましかった。
私は音に敏感な方らしく、こんな場所で深く眠るなんてことは到底無理だった…
手探りで食べる病院食
朝食を出された。が、これどうやって食べるの?という状態だった。
脊髄損傷の疑いがあったので、身体を30度以上起こしてはいけない指示が出ていた。そして、首には18,000円もするという首カラーを巻いており、頭を下に向けないようになっている。テーブルに何が置いてあるのか全く見えない状態である。これをどうやって食べろと?
しかし、前の日は飲まず食わずだったので空腹に耐えきれず、手探り状態で手で食べた。液体状の物はどうやっても食べる事はできないので、そのまま残した。
昼食時に来た、看護師さんが年配で気の利いた方だった。
献立はハンバーグだったのだが、前もって簡単に一口大に切ってくれた。ご飯も「これじゃ食べれないから今ラップでおにぎりにしてきます。今後おにぎり形にしてもらうよう指示出しておきます。」
ものすごい有り難かった。
急な入院は、独身者にとって最悪だ
入院関係の事は何かと「ご家族は?」が出てくる。友達や彼氏では効力は発揮されず、あくまで「ご家族」なのだ。
事故後一週間居たHCU(高度治療室)も家族以外は面会禁止。病院というのは、家族が遠方にいる人、家族がいない人、向けに考えられていない場所なのだと今回よくわかった。
急な入院でまず必要なもの
まとめてみた。すぐに必要だった「歯ブラシ、コップ、曲がるストロー」は看護助士さんが下の売店まで買いに行ってくれ、他のものは、後日友達に買ってきてもらった。曲がるストローがここまで寝たきりの人に便利なものとは、初めて知った。
職場には、手術前になんとか電話をした。契約先との仕事は全部キャンセルになっている。本当にたくさんの人に迷惑をかけている。
入院時ヒマつぶしが大変というが、それは予定した通りの入院の人だと思う。私の場合は「痛い」というのがまず大前提であって、眠りに入っては、食事、血圧、注射、などで起こされる。何もしていないのに、いつも疲れていた。
携帯を少しいじるだけで、スマホってこんな重かったっけ…。とすぐ疲れて眠ってた。エネルギーのほとんどを足の治癒に取られているのかな。
つづく
次回は飼い猫、バイク保険、2回めの手術について書きます。