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「プライドと偏見」を観て


はじめに

「プライドと偏見」は2005年のロマンス映画で、「高慢と偏見」(著ジェイン・オースティン)を原作としています。

(日本版でラストシーンはカットされているためyoutubeで鑑賞↓)

監督は「シラノ」のジョー・ライト監督。
主演はキーラ・ナイトレーで、第78回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。

英版ポスター〈Pride & prejudice〉


ジェーン・オースティンとは


ジェイン・オースティンのサイン

18世紀から19世紀の田舎の中流社会を舞台として、女性の結婚や私生活をテーマに執筆。

近代イギリス長編小説の頂点と見なされ、夏目漱石も大絶賛していたらしい。

大学の初等レベルから高等レベルまで幅広くオースティンの作品が扱われており、その影響力の高さが窺えます。

現在十ポンド紙幣の肖像画に、ジェイン・オースティンが採用されています。

原作「Pride and prejudice」について

驚くべきことに、発刊されたのは200年以上前の1813年1月28日のこと。

その年の10月に重版され、日本では(一部が)1926年に訳されました。

タイトルの邦訳は、「高慢と偏見」、「自負と偏見」、「自尊と偏見」のように様々であるが映画のタイトル「プライドと偏見」で訳されたのは初。

サマセット・モーム(英小説家)は自身の書評の中で「大した事件が起こるわけでもないのにページをめくる手が止まらなくなる」と評価しています。

ストーリー

イギリスの片田舎に暮らすベネット家は5人姉妹。

父親が亡くなれば、遺産相続のない女性は生きる道が無くなってしまう時代、
母親のベネット夫人(ブレンダ・ブレッシン)は娘たちをなんとしてでも結婚させようと躍起になり、父親のベネット氏(ドナルド・サザーランド)は娘たちの結婚にあまり興味がないようである。
ある日、隣家にビングリー氏(サイモン・ウッズ)とその妹、そして友人のダーシー(マシュー・マクファディン)の3人が越してくる。
独身の大富豪だという噂で5人姉妹は大盛り上がり。その夜行われた舞踏会で、ビングリー氏と話す機会に恵まれた長女ジェーン(ロザムンド・パイク)は一目で恋に落ちてしまう。
次女エリザベス(キーラ・ナイトレー)はダーシーをダンスに誘うもあっさり断られ、その挙句にダーシーが自分を侮辱するのを盗み聞きし、強い反感と嫌悪感を抱く。
出会いは最悪だったが、エリザベスはダーシーに会うたびに彼の存在が気になってしまう。
そして彼もまた、エリザベスに惹かれていくようだった。
しかし、高慢さと偏見から、2人は互いを誤解し、すれ違いを繰り返す。
果たして2人は結ばれるのだろうか?
そして5人姉妹はそれぞれの幸せを見つけられるのか?

というストーリーです。

(エリザベスとダーシーが出会う場面↓)


「プライドと偏見」を観て 感想

冒頭はエリザベスが本を手に草原の中を歩いていくシーンで始まる。まるで絵画のように美しくて、思わずはっと目を見開いてしまうほどだった。
曲もゆったりとしていながら気品に満ちていて、優雅な雰囲気が流れていた。
主軸となるのは「女性の幸せ=結婚」。
「プライドと偏見」は、それが良い悪いという話ではなく、あくまで5人姉妹が相応しい相手を見つけることができるのか?というストーリー。
この時代に生きる女性は、持つ権利が限られていて、女性はこうあるべきだという固定観念が社会を覆っている以上、結婚こそが女性の生きる道だったのかな、と感じた。

(左から)ジェーン、メアリー、リディア、エリザベス、キティ


次女エリザベスと長女ジェーンが姉妹のうちでも常識をわきまえていて、社交界にも慣れている一方で、ジェナ・マローン演じる五女リディアは一番分別がなくて騒がしく、おてんば。
ジェナ・マローンは個性的な役が多い気がする。この役でも存在感があって良かった。
「ハンガーゲーム」の役柄が強烈だったのを思い出した。

ハンガー・ゲームのジェナ・マローン(左)



四女キティは「ジェーン程ではないが美人。性格は明らかに母親似である。リディアに引きずられて、分別のない行動に出ることもしばしば。」(wikiより)とあるように、美人ではあるが結婚相手が見つからない。
演じているのは「プロミシング・ヤングウーマン」のキャリー・マリガン。

そして最後に、三女メアリーはタルラ・ライリーが演じているが、姉妹の中で一番目立たない役どころ。
原作の設定だと「器量の悪さを補うかの如く勉強して、教養を詰め込んでいる。そのせいか何かにつけ教養をひけらかしたり分別めいたことを口にしたがるが、中身はあまり実のあるほうではない」とあるので、もっとセリフがあっても良かったのではないかと感じた。

インセプションのタルラ・ライリー

個人的名シーン5選

エリザベスとダーシーのダンスシーン

最初の舞踏会では最悪な印象を残したダーシー。2回目に会った時、自らエリザベスにダンスを申し込みます。
後半の2人だけの世界に入ったような演出に注目。

キャサリン夫人とエリザベスの会話

ダーシーと自分の娘を結婚させるために、エリザベスに身を引いてもらいたいキャサリン夫人は、真夜中にベネット家へやって来ます。あらゆる言葉でエリザベスを攻めたてるジュディ・デンチと、それに対しても一歩も引かないキーラ・ナイトレーの演技は圧巻。

ダーシーの告白

ついにダーシーがエリザベスに自分の想いを伝えるシーン。しかし、まだ誤解しているエリザベスは強い口調でこれを退けます。なかなかうまくいかない2人の、一番もどかしさのある場面です。

ジェーンの婚約

長女ジェーンは最初からビングリー氏に惹かれていましたが、ダーシーによってややこしいことになっていました。紆余曲折を乗り越えて、ついにジェーンは幸せを手にします。家族の喜びようも微笑ましい場面です。

⑤ビングリー氏の引っ越し

空き家だった隣家に大金持ちのビングリー氏が越して来て大喜びなベネット一家。恋の波乱が起こるとも知らず、姉妹たちは浮かれています。ベネット夫人やベネット氏、そして5人姉妹それぞれのキャラクターが際立っている場面です。


終わりに

以上が「プライドと偏見」についてです。映画を観て原作がとても気になったので、読んでみたいと思います。是非、2人の関係がどうなるのか、幸せを掴むことができるのか、最後までご覧ください。

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