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一人っ子の海外移住

父が長期入院することになりました。
私は一人っ子で、近くに住んでいる叔母も年なので、全て任せるわけにはいきません。
何をどうしたらいいかわからず、「一人っ子海外居住者」で検索エンジンをかけてみましたが、残念ながらヒットするものはありませんでした。
仕事を辞め家族を残しての帰国、現実と向き合う心の準備が整わない中、これから先のことを模索していきました。
そんな私の経験をこれからしばらく綴っていこうと思います。
そしてこれが、自分と同じ境遇の方の手助けになれば嬉しいです。



一人っ子の海外移住

少子化の現代では一人っ子は珍しくありませんが、ベビーブーム全盛期の一人っ子は学年で2、3人しかいませんでした。
「一人娘さんが外国に行ったら、ご両親さみしいわね」とよく言われました。
それでも両親は「私のやりたいこと」を応援してくれたと思います。
それに当初は1年か2年の「留学」のつもりで、まさかそのまま腰を落ち着けるとは想像していませんでした。

残された父

2002年の秋、母が他界しました。
3年ほど闘病生活を送っていたので突然のできごとではなかったけれど、母親っ子だった私はしばらく放心状態でした。
同時に残された父と今後どうやって接していくのかを考える必要もありました。
きっと父も同じ思いだったのでしょう。
どちらからともなく2週間に一度電話をかけて、他愛もないことをたくさん話しました。
父も私も日本とスペインを行き来して、半年に一度会うようになりました。
多分母がいた頃よりずっといろんな話をしたと思います。
そして母がいなくなって6年目、父はおじいちゃんになりました。

孫と過ごす夏

生真面目な父はきっと、自分がおじいちゃん役とおばあちゃん役の両方をしなくてはいけないと思っていたのでしょう。
子供たちが小さい頃は外に出れば率先してベビーカーを押し、家では本を読んだり、お風呂に入れてくれたりしました。
毎年子供の興味を最優先して、思い出作りにどこかに出かけました。
私たちが帰った後は、ほっとする反面少し寂しかったようです。

突然の知らせ

「膀胱がんと診断された」
そう連絡をもらったのは、2022年の9月のこと。
それでも抗がん剤が体に合ったのと、副作用がほとんどなかったのとで今まで通りの生活を続けることができていました。
状況が暗転したのは2024年の年明けです。
胃の精密検査のため総合病院に入院中、左脳にピンポン玉大の腫瘍が見つかりました。
まったなしの手術に合わせて、着替えだけ持って私は帰国しました。

住民票を入れる

いつもなら楽しい一時帰国も、今回は先の見えない長期滞在。
まずは市役所に行き、住民票を入れました。
住民票を入れると住民税や健康保険が発生しますが、その後のことを考えたら絶対入れておいたほうがいいですよ。
さらに印鑑登録もしておきました(その場ですぐできるので、印鑑証明が必要になった時に登録しても大丈夫ですが)。

すぐに連絡のつく電話が必要

住民票を入れた翌々日、スマホの契約に行きました。
家に固定電話があればそれを連絡先にしてもいいのですが、やはり緊急時に番号が一つあると便利です。
どこでもよかったのでイオンモールの携帯会社が密集したエリアで、一番最初にアテンドしてくれたところで契約しました。

銀行口座の管理

叔母からは「絶対に(私自身の)お金を使うな」ときつく言われていました。
この先万が一のことがあった場合に備えて、生活費は父のお金でまかなうようアドバイスを受けました。
しかも全てのレシートは保管しておくこと、との忠告付きです。
要するに父の貯金をそのままにしておいても相続税が発生するかもしれないので、必要経費はそちらから落とす方が良いとのことでした。
確かに病院の支払いはまとまった額になるので、父のカードで支払うことにしました(それを理由にカードの暗証番号を聞き出しました)。
入院中の父に代わって自宅の庭に防草シートを敷き詰め、防犯砂利を家の周りにまいたのですが、この費用も馬鹿になりませんでした。

病院の面会時間が平日の午後15分程度と決まっているので、行ける日は面会に行き、その合間を縫って家の片づけと大規模な庭の手入れであっという間に時間は過ぎていきました。

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