謎の男 第1話
高校生の時の話です。
Y市で開かれるコミケで売りに出すマンガ本を友達同士4人で作る事になっていました。(言っときますが、時代は1980年代です)
それぞれが自分の好きなテーマでマンガを書き、それをひとまとめにして、コピー、裁断、糊付けして、印刷した厚紙の色画用紙で表紙を付けて完成させるんです。
全部手作業。
お金ないから。
あ、内容はエロとか変なものではないよ。ギャグマンガや、推理もののマンガなどを描いた。
さて、締め切りが明日に迫ったその日。
まだマンガを描き終えていなかった俺は、朝の4時になって流石に辛くなり、ちょっとだけ横になる事にした。
ベッドに入って電気を消してしばらくした時。
突然部屋にあったギターが倒れる音がした。
ウトウトしてたので、一瞬、足で蹴飛ばしたかと思ったが、ベッドとギターが置いてある場所はそれなりに離れている。
足が届くような距離じゃない。
気になった俺は眠い目をこすりながら起き上がって、部屋の電気をつけた。
すると部屋の真ん中に、知らない中年の男が一人、立っていた。