青春時代 第4話
曲作りもそれなり順調。
演技の方も、Cさんがグイグイ引っ張ってくれるからかなり有難い。
踊りの方も何とか形になって来た。
大道具も、男子達が踏ん張ってくれて行けそうな予感。
全てが上手くいきそうだった。
そう、あの日までは。
ある日。突然、演出家のIさんからみんなに重要な話があると言う事で、部室に集まるよう指示が来た。
何だろうと思って部室に行くと、誰も内容を聞かされてないみたいだった。
とにかくIさんが来るのを待つしかない。
ざわつく中、しばらくするとIさんが姿を現した。
「皆さんに伝えないと行けない事があります。昨日の夜、Cさんがご家族の都合で遠くに引っ越しました。Cさんは、別れが辛くて、皆さんに伝えられないと言う事でしたので今まで黙っていました。ここはCさんの気持ちを考えて尊重してあげてください。私が皆さんに伝えたかった話は以上です」
そんな!みずくせーぜ!Cさん!
どんなに離れたって俺たちゃ仲間だろう!
って思ったけど、女の子の複雑な気持ちは俺には分かんねーや。すまねー。
とか考えてたら、誰かが呟いた。
「ヒロイン役は誰がやるの?」
あ、そうだった。ヤベー。
配役は全員埋まってる。
もう今の部員から捻出するのは無理。
どうすんだ?と思ってたら、みんなが俺を見つめているのに気がついた。
「部長ー」
「探すのガンバ!」
「ここは、ぶちょーのカリスマで!」
「いっぱつ可愛い子をおねがいします」
そう言う事?!
誰か見つけてこいと?!
ヒロインに値する役者を?
この短期間で?!
みんなが部室から去って行く。
俺1人、部室に取り残された。
どうすりゃいいんだ??
途方にくれる俺。
まあ、まずは部員名簿だ。幽霊部員でも、ウチの部員ではある。
その中から上手くピックアップできれば…と思いながら、ペラペラと名簿をめくった瞬間、電撃が身体を突き抜けた。
そこに、とある名前があったのだ。
中学の時からずーーーーっと片思いだった女の子の名前が!!