青春時代 第5話
間違いじゃないよね!?
珍しい名字だから間違いじゃないよね!?
下の名前もあってるし!!
夢でもないよね!!ほっぺをつねって見たけど痛い。
俺は何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も見返して、深呼吸してもう一回見返して、間違いじゃない事を確信した。
この時点で、もう他の女の子を選択肢に入れるなんて考えは全く無い。
いかに片思いの彼女にヒロイン役をやってもらうかに考えが集中していた。
いや、でも、幽霊部員とはいえ、演劇部に入部しているということは、少しは興味があるのかもしれない。(中学の時はテニス部だった)
作戦をあれこれ考えようとするが、そもそもいい作戦が思いつくようなら片思いのままで終わったりしていない。
どうすりゃいいんだぁぁぁぁ!!
ここはいっぱつ、ジャパニーズドゲザで行くしか無いか?!!
無いな?! !
それで行こう!!
よし明日の昼休みに決行だ!!!
と言う訳で、その日は大人しく帰り、翌日を待った。
早めに寝ようとしたが寝れるわけもなく、そのまま朝を迎えたのは言うまでも無い。
そして遅刻魔の俺が珍しく朝一に学校に着く。
自分の席に座ってドゲザのイメージトレーニングを繰り返し続けた。
午前中の授業も全く頭に入らなかったのは言うまでもない。
そして昼休みのチャイムが鳴った!
彼女は隣の教室。
自分の教室を飛び出し、隣の教室に飛び込む。
彼女を一瞬で目で捉えてダッシュして近づいた。
驚いた様子の彼女に、事前に練習しておいた説明を早口で喋る。
事情は分かった?分かったよね!?と確認したのち、彼女が頷いた瞬間、ジャパニーズドゲザの連発開始!!!
すると、彼女から以外な言葉が。
「うーん…どうしよう」
え?!もしかしてイケる?!
コレはスーパージャパニーズドゲザだ!!!
とにかくおねがいしますの連発を繰り返した。
そして最後には…。
「うーん、まあ、やってもいいよ」
やったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
ヒャッホーーーーーウゥゥゥウーーーー!!!!
涙が溢れそうなのを我慢して、突然の様に紳士的になって、この後放課後になったら部室に案内して、もう一度詳しい話をするからと約束して、教室を去った。
この後、午後の授業も頭に入らなかったのは言うまでもない。
放課後、彼女を迎えに行って、部室へ案内した。
練習内容や劇の内容、やる事を詳しくゆっくりゆっくり丁寧に説明して、いきなり全部上手くやれなくても良くて、徐々に慣れていければいいからと、念を押した。
彼女も案外興味があったのか、抵抗感はあまり見せる事なく、引き受けてくれた。
この日は、これで彼女は家に帰ったが、明日からは毎日、俺の相手役として一緒に話したりできるのだ!
俺は夕日に向かって、この思いを表現するため、思いっきり叫んだ。のはウソです。
ちなみに…。
中学の頃は俺と彼女は同じクラス。俺は不治の厨二病だったから、彼女をいつもガン見しては目が合いそうになると慌ててそらして「ふぅ、危なかったぜ」とかやってたけど、絶対彼女は俺が想いを寄せている事に気が付いてる。(と思う)