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恋なんて憎しみ合ってもできるものである。

それは例えば、レコードの音楽が流れる店。

あのときは楽しかったねと彼は突然呟いた。

あの頃は私たち、何もかも楽しかったわね。

何でこうなちゃったんだろうね、愛は儚い。

話せば話すほど私たちの距離は遠ざかった。

一体喧嘩の理由は、なんだったのだろうね?

好きという感情から私たちは遠ざかったが、

憎しみの感情において、私たちは近づいた。

憎しみ合うほどより強烈に記憶に刻まれた。

それはレコード以外何にもない店の片隅の、

暗い座席で語られた男と女の追憶で始まる。

男はいいよね。傷つくのは、いつも女なの。

いくら男女平等なんで叫んだって体は違う。

子宮がある女だけにしかわからないことよ。

急激な展開に男と女は戸惑い、憎み合った。

ゆっくり考えている暇など一秒もなかった。

私はカウンターで、カクテルを作っていた。

これから始まる物語の序章に過ぎなかった。



#小牧幸助文学賞
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#短編小説
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山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします