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詩 | 一粒のH2O

ビュンビュンと
さきへさきへと
みんながすすんでいく中で
ひとりだけモタモタしてたら
あぶないから
みんなのペースにあわせて
あたしも走りつづけた

みんな息もたえだえで
ホントはてくてくと歩きたいのにね
でも人の流れはとめられない
はげしい流れのまん中にいる人ほど
流れから離脱することはむずかしい

あたしはもう
クタクタに疲れちゃった
だからずっとずっと前から
流れのハシッコにいて
流れのそとへのがれることを
コシタンタンとねらってた

願いかなって
あたしは1個のH2Oという分子として
流れのそとへとびだすことができた

集団としてのH2Oには
個性なんてなにもない
1個の分子の持つ性格は
みんな同じで
個性なんてなにもない

けどね
激流の中にいる群れの分子と
外へとびだした一粒の
H2Oの分子の及ぼす意味は
ぜんぜん違うものよ

あたしは
人を押し流すH2Oの群れではなく
維管束をとおったり
気孔からとびだしたりして
花を咲かせたり 実をむすばせたり
大気をうるおす1個の分子として
生きてみたいと思ったんだ

破壊の集団の一員になるより
あたしは創造の種の1つになりたい
あたしの小さくて
けれども大きなのぞみ…


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もしかしたら、私の妄想ではなく、あなたの妄想かもしれない。イラストも収録しています。

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