SS / #イライラする挨拶代わり🥊
「とりあえず私が左パンチを出したら、あなたは右手でパリーして。そのあと、あなたが右フックを出したら、私は左手でブロックするからさ」
絵美はかなり風変わりな性格だった。
学生時代からの親友だが、会うたびに妙な提案する。私との関係が強固なものであることを常に確認しようとするのだ。
私はボクシングに詳しくない。パリーだのフックとか言われてもピンと来ない。
「絵美、『パリー』ってなに?『フック』はなんとなく分かるけど」
「まぁ、めんどくさいけど、手取り足取り教えてしんぜよう」
「『教えてしんぜよう』って。ははは。ではご教示願おう!」
それから絵美と私の血の滲むようなトレーニングが始まった。
絵美の左ストレートが放たれた。私の右パリーは失敗して、鼻を直撃した。
「お主、まだまだ修行が足りんのう」
「『修行が足りんのう』と言われましても。今、修行を始めたばかりで御座ろう。拙者、次は見事にパリーしてしんぜよう」
気がつけば、血のついたティシュの山が出来ていた。
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします