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短編 | カフェ4分33秒
「あたしたち、もう別れましょうか?」
女が切り出した。
「もう一度、考え直してくれないか?」
男が頼みこむ。
「もう、さんざん考えた末の結論なのよ」
「君の気持ちを受け止められず、悪かった」
「謝らなくていいのよ。もう終わったことだから」
「いや、まだ俺は君への気持ちが残っている」
「ごめんなさい。私にはもう、あなたへの気持ちは残ってないのよ」
カフェで突然始まった男と女の修羅場。一体いつまで続くのだろう?
行きかけたトイレへは行かず、私はこの面白い場面の、一挙手一投足を聞き逃すまいと耳をすませた。そのとき、10時を回った。
「あなたとは別れます」
「俺は別れない」
「気持ちは変わりません」
「考え直してくれ」
男が半泣き状態になった。しかし、女は相変わらず毅然としている。
「別れます」
「別れない」
「終わりにしましょう。きりがないから」
「" Love is over "?」
「悲しいけれど、終わりにしよう」
時計は10時4分33秒を指していた。
(410字)
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