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チャラ男イールショック
ブンズーブンズーブンズー
「えー花山田クン誕生日なの〜?行く行く、絶対行くよそのパーティー!」
ブンズーブンズーブンズー
「えっ大和川ちゃん引っ越しするの!?そんな〜寂しいよ〜お別れパーティー絶対参加するからさ!プレゼント持ってくよ!」
ブンズーブンズーブンズー
「おかしいなぁ……次の週の休日の予定全部埋まったし銀行の残高ゼロだよ……まいったなぁ……まぁ何とかなるか最悪行かなくたって……」
クラブ『京仕草』のボックス席に1人のチャラついた男がいた。代わる代わる挨拶にくる客にひと通り対応した後、スマホをいじりながら(おそらくソーシャルゲームをしている!クラブで!)酒を呑んでいる。男の名は明かせない、仮にBとしておこう。昔はチャンプと呼ばれることもあった。しかし彼がチャンプだったのは昔の話……今はその伝手でクラブに出入りし客の相手をしながら小遣いをもらって糊口をしのいでいる。
「おいB、客だぜ」
店員に案内されフードを目深にかぶった男が現れる。
「えっと……誰だったかな、顔が見えないから分かんないんだけど……」
男は無言のままBの向かいに座る。ただならぬオーラだ。
「かっ彼にドリンクを、えーと何を……」
「コロナだ」
「「こっコロナ!?」」
コロナと聞きBと店員は息を呑む。この店ではそのビールの名は特別な意味を持つのだ。
「ある筈だ、コロナが」
フードの男に威圧され店員は逃げるように走り去った。それを見送り男はポツリと口を開いた。
「B、お前はまた来なかったな」
その声に込められているのは怒りか悲しみか……Bには判断がつかなかった。顔が見えないからか、その声にKAIGAIのイントネーションがあるからか。あるいは……目の前のフードの男が超自然の存在であるからか。
無言の時間は続く。
「お待たせしました」
席にコロナが届けられると、男はその瓶をひったくるように奪い口をつける。そしてゴクリゴクリと一息にコロナを飲み干し……空いた瓶をBに投げつけた!地獄めいた声で男が叫ぶ!
「今年の #AKBDC は9/5に終わったぞ!!!!」
「アイエエエエエ!?あっ貴方は!!」
クラブの音楽をかき消す程の雷鳴が鳴り響く!!
「B!俺は貴様に天罰を下しに来たのだ!」
男の袖から回転するコマが射出され竜巻を起こす!ミラーボールが無残に破壊!
「そんな!みなみから!はるばる!」
「俺を侮るな!」
男の袖から回転するコマが射出され竜巻を起こす!ホールで踊る男女が無残に破壊!
「許して!来年は!来年は絶対!」
「貴様は!一昨年も!同じことを言ったぞ!!」
男の袖から回転するコマが射出され竜巻を起こす!DJブースが無残に破壊!BGM停止!
「アイエエ……」
暴れ終わったコマが男の元に戻ってくる頃にはクラブは半壊しており、Bは男に追い詰められ失禁し腰を抜かしている。
「B、お前は腰抜けだ。だから俺はここまで来た。書け、書くのだパルプを」
男はBに手を差し伸べる。やさしみ。
「ありがとう……ありがとう……俺書くよ、俺書くよ明日から……」
「いやお前は今すぐパルプを書くのだ」
原稿用紙とペンが渡し崩壊したDJブースを指差すとそこには作業机と作業椅子があった。
「ナンデ!?ソシャゲしなきゃ!デイリーがまだだよ!」
怒気を発する謎の男がフードを脱ぐと、その正体は人間サイズまで巨大化したイール男だった。
「お前は今すぐやらねば二度とやることはない。〆切は9月中なのだ」「アアアアア!?」
「わかっているのか!」「アアアアアーッ!?」
「わかっているのか!」「アアアアアアーッ!」
「わかっているのか!」「アアアアアアーッ!」
「わかっているのか!」「アアアアアアーッ!」
「わかっているのか!」「アアアアアアアアアーッ!」
イールの電撃を受けながら、Bはひたすらに原稿用紙にパルプを書きなぐるのだった。
FIN
アク詰メさんお誕生日おめでとうございました。こういうふざけた小説を書くのは数年ぶりです。最愛の人である佐久間まゆの誕生日に何書いてるんだろ俺。
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