千年魔京
「だからな、やっぱり京都はクソなんだよ」
鴨川河川敷の夜は無法地帯であり飲酒が許される。京極雅之は飲み会の後二次会と称しここで酒を飲むのが好きであった。
「車は方向指示器出さねぇし、バスが四条河原町を曲がるのに10分はかかる」
今夜の京極は随分機嫌が良いらしく大声で管を巻いていた。倉橋はそう言う京極が嫌いではなく、落ちていた枝を弄びながら微笑んでいた。
「宮崎駿こそが典型的オタクって感じするよなぁ…オタクに才能載せたらああも凄くなるんだなぁ」
「なぁ京極」
「なんだ?」
「さっきあんなに糞と言ってた京都だけどさ、それがさ、本気で滅ぶっていったらどうする?」
京極は倉橋の目に冗談が無いことに気付くと酔いも少し醒めたようで少し畏まり、返した。
「それは仕事の話か?」
倉橋は微笑む。その手にあった枝はいつの間にか一匹の蛇に変わっており、倉橋の元を離れると河に向かっていく。
一匹目の蝦蟇はこの蛇に食われて死んだ。
【続く】
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