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【凛と佇む少女や動物を描く】marie インタビュー
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秘密の森 -marie x WAM FRAME INFINITY 展-を、2024年10月30日(水) – 11月10日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。
今回は、marieさんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。
自己紹介をお願いします
marieと申します。アクリル絵具を使って、板に絵を描いています。動物や少女が主人公で、背景に中世ヨーロッパや、植物、花を描くことが多いです。現在は絵の制作と、描いた絵でレターセットなどのステーショナリーを制作販売しています。また、定期的に東京を中心に展示会を行なっています。
六本木の「ギャラリー&カフェ Camelish」にて、私の雑貨を置いていただいています。そこで松岡さん(ピカレスクギャラリー代表 松岡)が私の雑貨を見てくださり、ご連絡をいただいて、「100枚原画展(2021年)」の開催につながりました。
絵画制作のきっかけや、現在に至るまでの経緯を教えてください。
子どもの頃から絵を描くことが好きでした。父は趣味で20年ほど油絵を描いていて、母は日本画を、姉は版画を学んでいました。家族の影響もあり、私も自然と絵を描くことに興味を持ちました。
高校は、絵の専攻コースがある学校に進学しました。国際系と芸術系で迷っていて、最終的に姉と同じ芸術コースを選びました。
高校の頃は、油絵、水彩画、アクリル画など、色々な分野の勉強をさせてもらいました。一限から五限までは一般的な学科を、六限、授業後の放課後は絵を学びました。芸術大学出身の先生が本格的に絵の勉強から大学受験のサポートまでしてくださいました。
当時は海外アニメが好きで、今の作風からは想像できないカラフルな絵を描いていた時期もありました。特に好きだったのは、アメリカのアニメ「おくびょうなカーレッジくん」です。主人公は可愛い犬なのですが、ストーリーや背景の描写が絶妙にダークで、その雰囲気に惹かれてよく観ていました。
大学生の頃は、京都の芸術系の大学でデザインを学んでいました。デザイン以外にも、プロダクト、写真、イラストなど幅広く学ぶことができたのですが、私はやっぱりアナログでアクリル絵の具を使って描くスタイルが好きでした。この頃には、現在のような色調で絵を描いていました。
大学を卒業した後は仕事との両立が難しかったため、新規で絵をたくさん描くという環境ではありませんでしたが、マイペースに制作を続けていました。そんな時、(ピカレスクギャラリーの)松岡さんと出会い、100枚展のお話をいただいてから、本格的に絵を描きはじめて今に至ります。
100枚の絵を描くのは、正直本当に大変でした。しかし、今まで描かなかった構図や世界観、モチーフなど、新しいものが生み出されていくことが自信にも繋がりましたし、ありがたい経験でした。自分が絵を制作する中で、一番大きい出来事だったと思います。
現在の作品の世界観は、どのように生まれたのでしょうか?
今の作風はシックな色彩が多く、昔好きだった海外アニメの雰囲気とは異なるのですが、大きなきっかけがあるわけではありません。「こういう色調が好きだな」と自然と思い始めて、それを突き詰めていったら、今の作風に辿り着きました。
あとは「影響」です。例えば、大学の近くに「恵文社」というすごく好きな本屋さんがあったんです。京都駅からは少し遠いのですが、クラシカルで素敵な本屋さんです。アート系の本も取り扱っていて、素敵な雑貨とか、いろんなグッズも置いてありました。
大学からも、当時一人暮らしをしていた家からも近く、よく夜に本屋さんに行って、写真集、雑誌、海外の絵本などを手に取っていました。そういうところからもインスピレーションを受けて、今の作風に至るのかもしれません。
これからも自分の今の世界観を壊さずに、でも少し新しい何かを感じることができるような作品を作っていきたいです。
思い入れのある風景やモチーフについて教えてください。
私が特に好きな場所は、イタリア・トスカーナ地方のオルチャ渓谷と、ベルギーのブルージュという街です。どちらの風景も自分の絵の中によく登場します。
オルチャ渓谷は広大な丘陵地で、丘の上に糸杉が並んでいる風景が有名です。糸杉が並ぶ広大な敷地を車で走っていくと、城壁に囲まれた街や小さな街々が現れます。
大学の頃に友人からオルチャ渓谷のポストカードを見せてもらったことがありました。緑の中にポツンと糸杉が生えている写真だったのですが、それをずっと覚えていて、いつか行きたい憧れの場所でした。実際に訪れましたが、ため息が出るほど美しく、今でも目に焼き付いています。
オルチャ渓谷と同じぐらい、ベルギーのブルージュという街も好きです。ブルージュは中世の街並みが残る絵本の世界のような街です。「天井のない美術館」とも言われています。
中世ヨーロッパの建物が好きで、好きなテイストの街並みをインターネットで探していた時にヒットした場所です。憧れもずっとあり、ある時行ってみました。実際に訪れてみたら、全体的に建物の色調が落ち着いていて「洗練された大人の絵本」のような街でした。
動物は好きな動物を描いています。私がよく描くのは、ライオンやヒョウ、オオカミ、キツネなどです。鋭い目線の動物が好きなんです。鳥類では、フクロウが大好きです。
絵には、自分の憧れや理想像が現れると聞いたことがあります。そういう意味では、凛と佇む強い視線とか、「一匹狼」のように堂々とした姿が私の理想なのかもしれません。普段意識しているわけではなくても、「そういう風になりたい」と心の中で思っているのかもしれません。
現在使っている道具、素材、技法を選んだ理由を教えてください。
学生の時から、板にアクリル絵の具で描くというスタイルは変わっていません。アクリル絵の具は水に溶けないので塗り重ねることができます。それが、私にとても向いている気がします。
板に描いている理由は、紙と違いその板の色味が絵の具と馴染んで、全体的に落ち着いた色調に仕上がるからです。私はジェッソなどは塗らないで、板に直接絵の具を載せてしまいます。そうすると、板の色味や木目が浮かび上がります。木の雰囲気やベージュの色味が残り、クラシックな仕上がりになるのが好きです。
作品ができるまでのプロセスを教えてください。
まずはトレーシングペーパーに、主人公の少女や動物をラフで描きます。主人公が出来上がっていくうちに、「こういう構図にしていこう」と見えてくるので、そこからは本当に見切り発信で描いています。
主人公の少女と動物さえしっかり構図として出来上がって、自分でも「これは間違いないな」という段階になったら、もう迷うことはありません。トレーシングペーパーの下にカーボン紙を引いて、板に絵を写していきます。
主人公を決めるのが、1番難しい段階です。作品の完成度を決める重要ポイントで、最も神経を使います。そこを押さえてさえいれば、「失敗がない」と言ったらおかしいのですが、自分で納得できる作品に仕上がると思っています。
少女の表情も意識しています。にこにこ笑っているというよりは、スッと遠くを見つめるような表情を描いています。芯が通っている、屈しない精神という感じでしょうか。これは動物の話と同じで、自分の理想や憧れが投影されているのかもしれません。
背景は、ヨーロッパの風景や、植物、 花が多いです。それらはフリーハンドで、主人公に合う背景をイメージしながら描いています。
「この少女は、お花の中にいる風景が合うな」「この少女だったら、ヨーロッパの雰囲気が合うな」など、描いていくうちに構図が思い浮かんでいきます。大学でデザインを学んだ経験が生かされているのかもしれません。全体のバランスを見ながら、手が動いていきます。
好きな作品や場所などがあれば教えてください。
藤田嗣治(ふじた つぐはる)
好きな画家さんの作品から、インスピレーションを受けることが多々あります。中でも藤田嗣治(ふじた つぐはる)さんの作品は、とても好きです。
大学の時に作品を見て衝撃を受けました。本当にすごい。特に色調がドンピシャでした。落ち着いているけれど圧倒的な世界観で、とても引き込まれました。
エロール・ルカイン
つい最近、山梨の「絵本美術館」というところに行って、そこで初めて原画を拝見しました。そこでエロール・ルカインさんの企画展が開催されていて、そこからとても惹かれて、好きになりました。
色調はもちろん、構図の作り方がとても美しく、線が非常に繊細で、タッチも本当に素敵です。全体的にシックな世界観で、心に響きます。
グスタフ・クリムト
大学生の頃から、クリムトが描く、緻密で繊細な模様やタッチが好きです。私も自分の作品に模様を描いていますが、それはクリムトの影響を受けたのかもしれないです。
クリムトは、その作風的に、模様を美しく描く画家さんです。学生の頃に感銘受けて、そこから私も「模様」を意識するようになったのだと思います。
小室山(伊豆)
場所だと、広々とした自然豊かなところが好きです。「大室山」という有名な観光地の近くにある、「小室山」という山が特にお気に入りです。
ロープウェイで山頂に登ると、海が見渡せる芝生があります。斜面が広がっていて、その前に海が広がっています。シートを敷いて、ピクニックをするのもおすすめです。芝生に座って絵を描いたこともあります。
作品づくりをしていてよかったと思うのは、どんなときですか?
私の作品を目に留めてくださったり、絵を手に取って購入してくださる方がいるということが、制作の励みと意欲に繋がります。本当にありがたいです。
あとは私の中で、「作品づくり=自分を表現する場」という感覚です。表現が合っているか分からないのですが、デトックスのような感じでしょうか。
辛いことがあった時は、絵を描くことで気持ちが落ち着いたり、消化されたりすることがあります。 そういう意味でも、私の中ではとても重要な、いちばん近い友達のような感覚です。作品が増えていくごとに、自分のメンタルサポートになっているなという実感を持っています。
個展を楽しみにされている皆さまにメッセージをお願いします。
今回は、額作家のWAM FRAME INFINITYさんと展示をさせていただきます。WAMさんと展示会をさせていただくのは2回目になります。
今回の展示会は、私が絵を描いて、その絵に合わせてWAMさんが額を作ってくださるパターンと、WAMさんが作った額に合わせて、私が絵を合わせるという、その2パターンで進めています。
作っていただく額によって、世界観とかモチーフがガラリと変わります。なので、WAMさんの制作されている額が届くのをワクワクと待ちながら、新しい作品を頑張って制作しているところです。
前回よりも人物の表情とか、モチーフの幅を広げて、より深い世界観になるような作品を作っています。ぜひ楽しみにしていてください。
(インタビュー実施日 2024年5月17日)
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marieさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?
ピカレスクスタッフは、「自分では意識していなくても、描く動物や女の子に自分の理想の姿を重ねているのかもしれない」というお話が印象的でした。スタッフ自身がmarieさんの絵に惹きつけられるもの、私自身が憧れる雰囲気に近いからなのかもしれないと気がつき、嬉しい気持ちになりました。
marieさんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。
秘密の森 -marie x WAM FRAME INFINITY 展-
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〈会期〉2024年10月30日(水) – 11月10日(日)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/marie_wam-frame-infinity_exhibition_2024/
〈marie 公式SNS〉
Instagram https://www.instagram.com/marie.gallery_/
HP https://maririnminkey.wixsite.com/mariee
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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561
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■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/
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