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【1/17 START!】小泉夕可利 個展「想いを繋ぐ」インタビュー&作品紹介!
1月17日(水)より、個展「想いを繋ぐ」を開催する、小泉夕可利さんにインタビュー&作品の解説をしていただきました!
しろくまやねこの表情の変化や、木から広がるイメージなど作品への思いを語ってくださいました。鑑賞体験がもっと楽しくなるエピソードがたくさん。ぜひお楽しみください。
♪インタビュー
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✿自己紹介をお願いします。
彫刻家の小泉夕可利と申します。木を素材に彫刻を始めて24年になります。一番始めに作った作品はカバの木彫りです。その次は何の動物を作ろうかなと動物図鑑を見ていたところ、しろくまのボリュームと美しいフォルムに惹かれて、それから20年以上しろくまをモチーフに制作しています。最初の頃はしろくまが実際にはしないようなポーズを考え、しろくま単体で表現していましたが、最近の作品ではしろくまが色んなところに旅をしている様子を自然と組み合わせて表現しています。
✿現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。
しろくまをモチーフに一貫して作っていくうちに、徐々に形が変化していきました。今の世界観が生まれたきっかけは、しろくまが空を飛んでいる作品を作ったことです。誰も私を知らない場所へ飛んで行きたいと言う思いをしろくまに込めて作ったことがきっかけで、しろくまと雲の組み合わせが生まれました。そこから、色々と連想していき雲や虹、雨、植物と組み合わせた表現を行っています。
✿現在の素材で作品を作る理由を教えてください。
現在彫刻作品で使用している木材は楠材です。私が現在住んでいる九州では楠材が入手しやすく、大学生の時からお世話になっている福岡県大川市の材木市場で丸太の木から仕入れています。楠材は粘り気があり、細かな彫り込みがとてもしやすく、彫刻の作品は殆ど楠材を使用して作っています。油分も多く磨けば磨くほど艶が出てくるので、色んな表現に適しています。
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✿普段、何からインスピレーションを受けていますか?
最近は自然からインスピレーションを受けることが多いですが、世の中の情勢であったり、その時々の自分の感情を表現することも多いです。以前旅行で京都や奈良に行ったときの建造物や仏像からインスピレーションを受けて作った作品もあります。美術館で見た作品やSNSでみた作品がどこか頭の片隅に残っていて降りて来るときもあります。
✿影響を受けたアーティストや、作品はありますか?
私が彫刻を始めたきっかけが、高校生の時に見た野外彫刻のフェルナンド・ボテロの作品です。ブロンズの大きな作品「猫」や「馬に乗る男」を見て私も大きな動物の作品を作りたいと思ったことがきっかけでした。風船のように膨らんだフォルムや自分よりも大きな作品に圧倒された事を覚えています。この作品達に出会えていなかったら彫刻はしていないと思います。
✿これからどんな作品を作りたいですか?
一つは雲と虹の組み合わせで想像の街を作り、そこにしろくま達がお昼寝をしたり、釣りをしたり、ダンスをしたり、自由に好きなことをして過ごしている様子を表現したいと考えています。
二つ目は宇宙をテーマに旅をしているしろくまを作ってみたいです。宇宙船に乗って宇宙に向かい惑星や星、宇宙人などに出会っている様子を表現したいと考えています。
✿読者に向けてメッセージをお願いします。
ピカレスクギャラリーでの初めての個展でドキドキ、わくわくしています。これまで制作した作品と今回の個展で初お披露目になる新作の展示を行います。しろくまをモチーフにした作品が9割で、1割は猫や犬をモチーフに制作した作品になります。同じモチーフのしろくまでも、一体一体表情が違いますので、お顔の表情も楽しんでいただけたらと思います。作品によっては色々な仕掛けがありますので、是非会場に来ていただき実際に触って観てもらえたら幸いです。一人でも多くの方に作品を知ってもらい笑顔を届ける事ができたらと思います。
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♪作品紹介
ほっと一息
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雲から生えている芽とほっと一息休んでいるしろくまをイメージしました。雲を支えているのは、雲からこぼれ落ちる雨をイメージしています。落ちる瞬間のしずくと、広がっていくしずくが生命のイメージに重なります。
それでもわたしは生きていく
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さまざまな木を組み合わせて作ったこの作品は、着色をしませんでした。木のそのままの色が味を出しているのではと思います。しろくま、雲、下の雨の部分は同じクスノキですが、場所によって違う表情を見せてくれます。葉っぱは左からツゲ、コクタン、ブビンガ、茎の部分がウォールナットです。雨の部分は内側に向き、木肌の落ち着いた色は枯れた植物の印象です。その中でしろくまが笑っていて前向きに進もうとする…。元気をもらえる作品です。
エネルギー補給 ~パワー~&エネルギー補給 ~吸収~
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希望の虹シリーズの作品です。俊敏に動く雲とエネルギーを感じさせる虹をイメージして作りました。
"パワー"では、しろくまが雲からエネルギーを放出して虹になっている様子を表現してみました。
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"吸収"では、下から虹のエネルギーをしろくまが吸収して、またエネルギーを出しているイメージ。
雲の形は、他の作品で余った角材を手に取った時に浮かびました…!
希望の虹 no.1&希望の虹 no.2
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こちらの作品は卓上に置いて鑑賞する作品です。
虹の上のしろくまが目標をもって考え込んでいるようなイメージです。くまさんは針金を支柱にしていて自由に方向を変えることができます。
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猫FACE
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以前飼っていた猫やインターネットで見た猫をもとに、想像を広げて作った作品です。飼っていた猫のおでこのハート柄や三毛猫のイメージを取り入れたり、こんな猫がいたらいいなという猫が集まりました。大きな目が特徴的ですが、木を彫った後にUVレジンを目に入れて樹脂で固めています。
一つひとつ違う表情が違うのでお気に入りの猫さんを見つけられます。
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こんにちは
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綿毛のような芽がしろくまの重みでおじぎしている作品です。軽さと重みの対比を楽しめるのではと思います。芽としろくまだけの組み合わせで作品を作る試みから生まれました。
ニョッキニョキ
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綿毛のようにふわふわした芽に乗って飛んでいく、しろくまのイメージが作品になりました。《こんにちは》と《ニョッキニョキ》は、同じ親玉から生まれた綿毛ということで双子のような作品です。
ぶーらぶら
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釣り糸のような白い細い糸でつるされた、ぶらんこしているくまは、横に伸びていく芽のイメージから生まれました。
作品に必ず登場するしろくまは、以前福岡市動植物園でスケッチをしていたときに見た、しろくまの美しいフォルムに憧れたのがきっかけで制作を始めました。
南の島へ
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芽の下を飛ぶしろくまは、明るい南の島でヤシの木の間を飛んでいるように見えます。作品は作っているときにイメージがふくらんでいきます。こちらの作品もスケッチを描かずに作りました。
ひと休み
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雲を作っているときに、横に伸びていく芽のイメージが浮かびました。
芽にすわって休んでいるしろくまと、横に伸びる芽を組み合わせた作品ができました。
彩雲 ~旅するしろくま~
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「ここに、しろくまがいたらいいな」と思う場所を、自らの手で作りあげたい。その気持ちが、制作の原動力になっています。しろくまがふわふわと空を飛んでいく様子がほんのりと色づく雲と合わさり優しい印象です。彩雲は天や宇宙からの肯定を表すとされ、良いことが起こる前触れと捉えられてきました。虹のエネルギーを作品にしたものが多いですが、彩雲シリーズは虹と雲の融合です。
入道雲~旅するしろくま~
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家の庭に出たときに見上げた入道雲の、忘れられないイメージを作品に閉じ込めました。こちらもエネルギーあふれる虹のイメージを雲に表しています。原色に近い絵の具で着色した後、白を重ねて淡い色に仕上げます。
入道雲~夏の思い出~
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雲は段をつけることで、場所によって表情を変えています。しろくまの目や鼻は仕上げに鉛筆を使っています。黒鉛が木肌にやさしく馴染みました。
彩雲~夢心地~
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シロクマが雲の上で釣りをしていますが、目をつぶって居眠りしています。原色の面の上に白を重ねた後、更に凸面に絵の具を重ねます。三層の色の重なりを間近で味わえる作品です。
皆さまのお気に入りの作品や心に残ったエピソードはありましたか?
スタッフは、「それでもわたしは生きていく」についてのお話が印象に残りました。
木がもつ色やイメージを生かして物語を作る過程をお聞きすることで、木が見せる一つひとつ違った表情と、しろくまを中心に広がるイメージがずっと見ていたくなります。
ちなみに、本記事でご紹介した作品はほんの一部!当日お家でお持ち帰りいただける作品を含めると、約130点の出展が予定されています。
その全貌は、1月17日以降店頭にてご覧いただけます!ぜひ作品ごとの色の変化を間近でお楽しみください♪
小泉夕可利 個展「想いを繋ぐ」 展示情報
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◆会期
2024年1月17日(水) – 1月28日(日)
◆小泉 夕可利 プロフィール
1891年佐賀県生まれ
現在福岡県糸島に拠点を移し作家活動を行っている。
動物の彫刻や創作家具、カトラリーを制作。
◆小泉 夕可利 公式SNS
https://www.instagram.com/shi_ro_kumo/
◆個展詳細
https://picaresquejpn.com/yukarikoizumi_exhibition_2024/
◆インスタライブ アーカイブ
2023年10月に開催しました、個展作品の紹介ライブをアーカイブ 配信中です。こちらも併せてチェックしてみてください!
https://www.instagram.com/reel/CydXKvSvPBw/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==